生物多様性とは

 

     生物多様性は、いろいろな生きものが存在していることと一般に解されますが、生物多様性条約では、生物の多様性を、「遺伝子の多様性」、「種の多様性」、「生態系の多様性」の3つのレベルで考えます。人によって血液型が異なるように、同じ生きものであっても個体ごとに持っている遺伝子が異なる場合、これを「遺伝子の多様性」といいます。「遺伝子の多様性」が失われると、その生きものは環境の変化に対応しにくくなり、絶滅の可能性が高まります。結果として「種の多様性」も失われることになります。つまり、「種の多様性」を維持するためには「遺伝子の多様性」が重要だということです。また、海辺ではいろいろな生きものが相互に依存して生きており、これを海辺の生態系といいます。同様に、森林や砂漠、田んぼなど、様々な環境には、その環境に適した様々な生き物がすんでおり、またその様々な生き物がその環境を作り出しています。このように、様々な生物が共存することにより「生態系の多様性」ができています。 複数の生態系を利用して生きている生き物も知られています。 どの生きものが絶滅しても生態系のバランスが崩れ、他の生き物に影響します。また「生態系の多様性」があればこそ、生きものは「遺伝子の多様性」を保つことができます。このように、この3つの多様性のレベルは相互に関連した概念であり、どれが貧弱になっても、すべてが貧弱になります。現在、地球上には名前の付けられている生物がおよそ180万種いますが、まだ分類されていない生物がその数倍から10倍以上いると考えられています。しかしながら、日本だけでも三千種を越える生物が絶滅危惧種に指定されており、生物多様性を理解し保全する必要性が指摘されています。