現代数学の研究方向として、数学の理論それ自身の中に内在する 発展法則をよりどころとするものと、諸科学との相互作用のなかで発展法則 を見出すものがあるといえよう。 本研究分野は、前者に重点を置いた研究をすすめるものとして設定されたが、 現在の構成員は、前者後者の区別なく数学の研究を行っている。 具体的には、確率過程論と 連分数に関する研究が現在のテーマである。 確率過程論は 20 世紀前半にその現代数学的基礎の確立されたものであるが、 歴史的には、統計物理学、情報理論、待ち行列の理論と深い関わりがあり、 最近は集団遺伝学や数理ファイナンスにも応用されている。 また、連分数は整数論の他にも数学の多くの分野に関連している。
物理学、化学、生物学、工学等の諸現象をモデル化した微分方程式の 理論的研究を行う。 またシミュレーションによる解法を使用し微分方程式の理論の検証を行い、 理論の精密化と共にさらなる理論の発展を目指す。 具体的には、数学における関数方程式の分野で解の正則性や解の存在を 研究している。 さらに、現代数学に基礎を置く量子力学的手法を用いて、原子分子の 電子状態、高温超伝導物質を含む固体物性の研究を行い、固体触媒反応の 解明をさらには生体物質の電子状態の解明をも目指している。
情報システム科学は、情報化社会における情報の生産・処理・活用の 方法を系統的に研究・教育する分野であると共に、情報システムを 適当なハードウェアとソフトウェアに最適化する研究・教育分野である。 これらの技術の進歩により、現在、インターネットによる情報通信や マルチメディアによる多様な情報の取り扱いが可能になり、情報基盤技術の 整備によって情報化社会の内容が日々深化している。 本情報システム科学分野は、情報システムにおける、情報の広義な 処理方法、データベースや知識ベースの構造、様々な事象の情報処理に 伴う知識処理の数理モデル化を課題として扱っている。