21世紀に人類が直面する食糧および環境問題、さらには老齢人口の 増大問題などに対処するためには、動植物の成長・老化現象の 根本的なメカニズムの究明が急がれる。 近年、生命科学は、生命現象を分子のレベルで理解することにより 飛躍的に発展してきた。 本分野では、従来の基礎的学問分野としての生物学、化学、生化学、 遺伝子工学などを基盤としつつ、それらを学際的に総合し、新しい 手法を活用して動植物が成長し老化していく過程を分子レベルで 究明する。 動植物の成長と老化は大変複雑な過程を経て進行することが判明して いるが、本分野では、生体を構成する蛋白質、核酸、多糖類などの 高分子化合物の変動を中心に研究を進める。 この研究によって、他の2つの分野と連携しつつ生体科学大講座の 基盤を支えるとともにこの分野の研究を活かした基礎教育と 教養教育を行う。
生物のからだは、細胞からできている。 すべての細胞は生命体としての基本的な機能を有する一方で、個体を 構成する過程で形態的・機能的に多種多様に分化する。 本分野では、主として細胞の形態・構造と機能との関連性を究明する。 当面の研究課題として、1) 海産無脊椎動物の配偶子形成と受精、 2) 原生動物および培養細胞の分裂増殖機構について、形態学的および 生理学的観点から研究する。 これらの研究成果は、純学問的なもののみでなく、環境問題・ 人口問題など現代社会の抱える問題にもかかわってくると思われる。 教育面では、専門分野の知識・研究成果を活かしつつ、発生生物学 および細胞生物学の基礎教育および教養教育を行う。
健康科学とは人間の生活に関する諸要因が健康に及ぼす影響について 医学、運動(体育)学、栄養学、心理学、生理学、社会学、老年学などの 多面的アプローチにより身体的、精神的ならびに社会的な面から科学的に 究明し、その成果に基づいて健康の保持増進を図るという新しい 学問体系である。 とくに超高齢化社会が既に現実となっているわが国では、健康問題と 高齢者問題は重要な課題となっている。 本分野では、1) 健康と人間の生活にかかわる心身の諸問題を課題として、 生涯わたり積極的に健康を保持増進させていくという Positive Health の 観点から多様化した現代社会に対応できる健康処方について学際的に 研究し、2) ヒトの成長、発達、老化をテーマとして 21 世紀における ヒトの適応とライフスタイルについて究明する。