平成20年度 名古屋市立大学主催 市民公開講座
(第7講座:システム自然科学研究科 担当)

進化と生物多様性の保全を考える
 −動物園で学ぶ生物進化− 

開催報告

講師 : 熊澤 慶伯 システム自然科学研究科 教授
日時 : 2008年11月29日(土曜日) 13:00〜17:00
会場 : 名古屋市 東山動物園



 11月29日の午後1時から5時まで、東山動物園にて市民公開講座 「進化と生物多様性の保全を考える」 を開催しました。

目的

 21世紀は環境の世紀です。地球上の人口は爆発的に増大し、大量生産・大量消費の生活スタイルが自然環境と調和しないことが明らかになってきました。熱帯地方を中心に原生林はどんどん姿を消し、生物多様性はどんどん減少していると言われています。我々はこの実態を十分把握できているでしょうか?また今後科学的にあるいは政治的に対処していけるのでしょうか?そもそも我々は野生生物のことを十分理解できているのでしょうか?

 現代の動物園に期待される役割は決して「見せ物小屋的」なものに留まるものではありません。自然の中の生物多様性や生態系を学ぶ場所であったり、種の保全を研究する場所であったりします。東山動物園は昭和12年に設立され70年の歴史を持つ国内最大級の動物園の一つです。この講座では、東山動物園で飼育されている動物を見て回りながら、自然下における彼らの生態や進化に思いを馳せ、 我々ヒトと野生動物との関わり方について考えることを目的としました。

概要

 公開講座には約20名の方の参加を得ました。壮年層の方が多かったのですが、何時間も園内を元気に歩かれるのを見て、また活発に質問をされる姿を見て、講師の方が元気を頂戴しました。

午後1時に動物園正門前に集合、メダカ館のメダカホールに移動して講師の熊澤から「生物多様性」「進化」「現代動物園の役割」といった事柄について説明を行ないました。

続いて東山動物園の教育普及主幹である渡辺正さんから東山再生計画の概要について御紹介をして頂きました。

 午後2時に自然動物館の両生爬虫類飼育施設に移動し、そのバックヤードを見学するとともに、飼育担当者の毎日の仕事内容や苦労話を伺いました。



バックヤードには違法輸入で行き場を失ったホシガメ類やイグアナ類が多数保護されており、生物多様性の保全の難しさを痛感させられました。こうした見学の随所で講師の熊澤から参加者の皆さんへの質問や解説が入り、時間はあっという間に過ぎ去りました。

 午後3時からはメダカ館のメダカ類や水生昆虫の飼育施設に舞台を移し、バックヤードを見学しました。

様々な形態・行動を示すメダカ類がいることに驚嘆し、山本時男氏から始まったメダカ類のコレクションが今後どのように生物学研究に役立っていくかについても話が及びました。休憩後、午後4時から閉園まで園内の大型哺乳類を中心に見学しました。講師の熊澤が哺乳類の適応進化と機能形態についての解説・クイズを提供し、楽しく正門まで帰ってきました。



午後5時に無事解散となりました。本講座に御参加の皆様、運営に関わって下さった事務室の皆様、快く御協力頂きました東山動物園の皆様、どうもありがとうございました。

(文責 熊澤慶伯)



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