開催報告(第5回)

植物の成長を探る
〜 ホルモン制御から環境問題まで 〜

講師 : 谷本 英一
日時 : 2006年10月20日
会場 : シアトルエスプレスカフェ (らくだ書店本店内:千種区青柳町)

第5回サイエンスカフェが、10月20日(金)、主催者にとってはすでにおなじみになりましたらくだ書店2F・シアトルエスプレスカフェに於いて開催され、ほぼ満席の市民のご参加をいただきました。

今回は、「植物の成長を探る ・・ホルモン制御から環境問題まで・・」のタイトルで、システム自然科学研究科教授・谷本英一氏が、植物ホルモンの働き方といったミクロなレベルの話から、身近な植物の話題、そしてスケールの大きな環境問題にはたす植物の役割にいたるまでの広範な内容を、わかりやすく解説されました。

講義は、われわれが普段見る事もなく気にもとめていない土の中の根(系)が植物にとっていかに大切かということからはじまりましたが、わずか2〜3mのトウモロコシの根が、根毛の長さまで含めると100kmもあるというのにまず驚かされました。 そして、この根の部分も地上部と同様にさまざまな植物ホルモンによって成長が制御されており、ジベレリンやオーキシンは地上部に比べてごく低濃度で有効であることが詳しいデータをもとに説明されました。 このほか、植物ホルモンは休眠や発芽、果実の成熟等さまざまな働きを示す事も豊富な写真資料をもとにに示されました。 宇宙生物学の分野の話として、向井さんが行った宇宙実験で、宇宙船内で植物を育てるとまっすぐに育たないのは重力ストレスがないからだとの説明から、人間も適当なストレスを与えないと丈夫に育たない、だから息子達にはいつもストレスを与え続けていますという話がとびだして、思わず会場の笑いを誘いました。

後半の環境問題では、身近な街路樹や河川の護岸工事はいかにあるべきかということからはじまって、地球規模の生態系の現状とそれを改善するためのこころみについて概説されました。 代替エネルギーとしての植物の重要性にもふれ、ガソリン高騰の昨今、近い将来について考えさせられました。

講義全体がたいへん流暢でわかりやすくおもしろく、おもわずひきこまれてあっという間に2時間が過ぎてしまったという感じでした。 市民の参加者の中にも時間がもう少しあったらと思われた方が多かったのではないかと思われます。

最後に、森山研究科長よりこれまで4回にわたって会場のお世話をいただいた、らくだ書店およびシアトルエスプレスカフェの関係者の方々に御礼が述べられ盛会のうちに終了しました。

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