開催報告(第8回)

ママチャリが健康づくりに役立つって?!

講師 : 高石 鉄雄
日時 : 2007年1月19日
会場 : 7th Cafe (中区栄)

1月19日(金)、中区栄のナディアパーク7階の7th Cafe(セブンスカフェ)において第7回サイエンスカフェが開催されました。システム自然科学研究科助教授の高石鉄雄氏が「ママチャリが健康づくりに役立つって?!」と題して話題提供された。

自転車に関わる話ばかりかと思われたが、最初の話は、歩行習慣を持つ高齢者の歩行時の運動強度や運動量がどの程度実際に効果を上げているかについての紹介であった。健康づくり目的で「一日1万歩」に励んでいる人々の血液性状や脚筋力が意外にも運動習慣を持たない者と大差がないこと、その原因として、1万歩という量的側面だけが高齢者に浸透しており、歩行中の運動強度が不十分であることなどが心拍数データ、GPSによる歩行速度データなどによって示され、「その不足部分を補う運動として自転車が優れている」との前振りに参加者は大いに引き込まれたようであった。

話題が自転車に移ってからも、参加者は、変速機付きの自転車で遠出をするのが自転車を使った健康促進法が紹介されるのかと期待していたようであったが、ママチャリに乗って自転車を漕ぐ際の膝関節角度が階段を2段ずつ上がる場合と同一であることがスライドで示され、その間の脚筋活動を示す筋電図波形、ペダルに掛かる力に関する力学データなど、様々な角度からママチャリを科学した上で「自転車を漕ぐことが脚の筋肉強化、更には敏捷性改善から転倒予防の可能性を含む」との話に、参加者は大いに関心を示したようであった。

発表内容が「身体の使い方」であることから、身振り、手振り、脚振り(?)なども多数含まれ、筋肉を鍛える効果をハーフスクワット状態で歩く動作を実際にやってみせた時には、会場の参加者の中には思わず椅子から腰を浮かせながら実践する参加者もおり、「電動アシスト自転車は楽ができるのだけれども、裏を返せば脚への負荷が減り、帰って脚筋力の低下をまねく」、「最も脚筋力強化に効果が期待される発進時の筋力発揮の機会を乗る人から取り上げる」という話を聞いて、電動アシスト付きの自転車の購入を検討しておられた方の中には、購入を再検討しようという方も現われるなど、参加者の多くは健康維持・増進におけるママチャリの効果を知って、自転車の効用を再認識したようである。

遅れて参加する人も後を絶たず、毎日ママチャリに乗っている人ばかりでなく、仕事で健康指導をしている人や運動を研究する専門家、自転車競技者なども参加しており、参加者は最終的には40名をこえ、会場では入り口付近に急遽椅子を増やして対応していた。高石氏の最新の研究に基づく結果に参加者も熱心に聞き入っており、途中で階下からの雑音にも関わらず、興味深い話に引き込まれ、あっという間に過ぎた2時間でした。

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