開催報告(第9回)

石油がなくなった後はどうなるだろうか?
― 化石燃料と代替エネルギー(燃料)について考える ―

講師 : 藤田 美保
日時 : 2007年3月16日
会場 : 喫茶サンパウロ (中区丸の内)

今回のサイエンスカフェは、大津通の北端で市役所の少し南にあるビルの2階の喫茶サンパウロで行われた。参加者は25名(関係者除く)。今までのサイエンスカフェの場と異なり、四方が壁に囲まれた所で、満席の状態ではあったが、落ち着いた雰囲気の中で開催された。

藤田先生の、日本の一次エネルギー消費において、ここ30年で石油(原油)の占める割合が77%から50%へと減ってきてはいるが依然として依存度が高く、さらにその石油の輸入先の90%が中東諸国であるという話から始まり、原油の経済・社会的側面、そして石油製品の話などに入っていった。

原油の掘削コストがいかに安価であり、石油産出国がいかに恵まれているか、戦争と内乱後の復興において石油を持てるイラクと持たざるアフガニスタンの違いなど、言われてみればなるほどと思わされる視点であり説得力があった。最近できたミッドランドスクエアを寝かせたような大きさ(30万トン級)のタンカーが中東から毎日運ぶくらいの原油が日本では消費されていることなど、卑近な例をひきあいにして分かり易い説明であった。

石油価格の変動、価格がどういう背景で決まるか、ガソリンや軽油に科せられている税金、不法軽油の作られ方なども興味深い話であった。各国と比較して特に日本はエネルギー自給率が低いことなどはよく知られているが、エネルギー利用効率はアメリカなどの国々よりもすぐれており、中国など主要原油消費国がエネルギー利用効率を改善するだけで原油の枯渇までの時間をひきのばせるだろうという話などは意外であった。

石油枯渇後の代替燃料については、オイルサンド、石炭の液化、メタンハイドレート、風力発電、太陽電池など、コストの問題を含めて多岐にわたる説明があった。原油の生物起源である可能性や、埋蔵されている深さなどに関する質問だけでなく、どこかの催し物に参加してもらってきた次世代エコカーに関する資料等をもとに質問する参加者もおり、サイエンスカフェならではという雰囲気であった。

パワーポイントでのスライドが50枚を越えており、参加者からは時間が足りなくて十分な質問や討論・話し合いができなかったという声も一部聞かれたが、質問も多くて、全体として話が比較的分かりやすく、概して好評であった。

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