開催報告(番外編)

サイエンスカフェ イン なごやサイエンスパーク
自転車と階段利用の健康術

講師 : 高石 鉄雄
日時 : 2007年8月25日
会場 : なごやサイエンスパーク (守山区下志段味)

番外編のサイエンスカフェが、8月25日(土)、午後2時から4時にかけて、守山区下志段味のなごやサイエンスパーク、サイエンス交流プラザ内のカフェ「 ル・シェッロ」で行われ、運動生理学が専門の高石准教授が話題提供されました。

当日は、「平成19年度なごや・サイエンスひろば実行委員会」の主催するなごや・サイエンスひろばというイベントが行われており、暑い夏の終わりの土曜日午後に、多くの子供連れの家族が訪れていました。サイエンスカフェは、この行事の一環として行われたもので、名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科も共催という形で参加させていただきました。子供を対象とした催しに並行して行われたので、ヤングパパ、ヤングママが多いのではという予想をしていましたが、実際にはこのような話題に関心を持つ高齢者の参加が多かったようです。

日本人の死亡原因の話から始まりましたが、第1位のガンに続くのは、心臓と脳の血管系の病気だそうです。また、老齢になると、介護を必要とする老人の割合が非常に増えるという統計データも示され、高齢になっても自立して生活できることの重要性を考えさせられました。また、男性ではウエスト周囲径が85cm以上に加えて、血清脂質異常、高血圧、高血糖のうちの2つを満たしていれば、メタボリックシンドロームだと聞かされ、思わず自分のことを考えてしまいました。内蔵脂肪がなぜ悪いかについて、動脈硬化の話、アディポサイトカイン、PAI、TNF-α、アンギオテンシンといった専門用語の混ざった生化学的な話など、少し難しい話もありましたが、やがて、健康維持の実践編となると、みなさん俄然、話に引き込まれていったようでした。

「1日1万歩」歩けばそれでよいのかという高石先生の問いかけと、ただゆっくりと歩くだけではだめだという実測データに基づく話には説得力がありました。実は、以前から「生活習慣病予防には一定強度以上の有酸素運動が推奨されている」ということを聞かされたときには、それがどうして単純に「1日1万歩」という標語になったのか不思議な気もしていました。山崎川に沿った道を散歩する方々の運動効果を調べたデータや、ゆっくり歩行とシャカシャカ歩行(これが本来の“ウォーキング”だそうです)の運動強度の違いを示す筋電図のデータは直視的説得力がありました。同様に一定強度以上の運動として、シャカシャカ歩行だけでなく、自転車に乗ること、階段歩行をすることなども紹介されました。「近所に買い物にでかけるにしても、歩行より自転車の方が健康に良いか?」という参加者からの質問に、「平地の近いところなら歩くほうが良い。しかし、30分、1時間と習慣的に歩いている方が「同じ距離」ではなく「同じ時間」自転車に乗れば、歩行以上の効果が期待できる」と強調されていました。

最後には、高石先生ご本人の最新の研究データが矢継ぎ早に示されましたが、これらは、研究がまとまれば、またどこかで聞かせていただけるものと期待がふくらみました。

広い会場の片側のみを使ってのサイエンスカフェでしたが、なごや・サイエンスひろばへやってきた一般のお客様の中にも、関心を持って間仕切りの外で聞き入っている人達がおり、通常の講演会とは異なる雰囲気が醸し出されていました。

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