開催報告(第22回)

光と色の不思議な世界 〜色を作るものはなに?〜

講師 : 桑江 彰夫
日時 : 2008年5月16日
会場 : THE COFFEE MATSUYA (天白区植田西)

第22回のサイエンスカフェは5月16日(金)に、天白区の喫茶店「THE COFFEE MATSUTA」で開催されました。第1回の千種区より始まって、今回は名古屋市16区の最後で、全区を回ったことになります。今後も継続しますが、一応の区切りということで、前研究科長の森山教授より感謝の挨拶がありました。「光と色の不思議な世界 〜色を作るものはなに〜」というタイトルで、当研究科の桑江彰夫教授が担当しました。

暗闇では物の色どころか物体そのものも見えない、つまり光が色のもとであるというところから話が始まりました。光とはなにか、そして光の一部が吸収されるとその物に色が発現するという事実の説明の後、色の混合がアニメーションで示されました。さらに各参加者に直視分光器が配布され、4種のカラーフィルターがどのような光を吸収しているのかを体感し、色の性質を実体験することができました。始めはちょっと戸惑っていた方もおられましたが、スタッフの手助けもあり、光を分けるという操作をみんなで楽しみました。

次に「色の分子論」というちょっと手強そうなテーマとなりました。物体を構成している分子はなぜ光を吸収する(つまり色が出る)のかという話です。化学が苦手な人が一番きらう亀の甲型のベンゼンが出て来ました。演者はとても可愛いなんて言っていましたが、いろんな人がいるものです。分子は振動している、その振動を捉らえるのはラマン分光学であるという道筋で話は進みました。これを利用して薄い水溶液の色を出している分子の構造を捉えるのはどのようにするのか。そして、演者のグループが研究した酸性とアルカリ性で色が変わる分子の構造と色の関係という具合に次々と話は展開しました。前半の色と光の一般論の話題とはうって変わり、とても熱のこもった話となりました。演者は、よほどここを話すのが楽しい様子でした。

あっと思う間に1時間半が経ちました。終了後も次々と質問が出て、講師は対応に追われました。人間の眼の構造に関する質問にまで発展し、ちょうど居合わせた当大学の医学部教授が替わって応える場面もあり、色と光について閑雅を巡らす楽しい2時間でした。素敵な会場と香気あふれるコーヒーを用意してくれたお店の方々にスタッフ一同感謝いたします。

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