講師 : 徳光 昭夫
日時 : 2008年9月26日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)
サイエンスカフェ第26回は9月26日(金)にナディアパーク7階の7th Cafeで
行われました。システム自然科学研究科准教授の徳光昭夫氏が、「冷たい世界
の奇妙な住人たち〜低温で現れる量子現象〜」という題目で、低温物理の奇妙
な現象とその背景にある量子力学の理屈を、その展開の歴史から最新の結果も
含めて解説されました。
低温がどのように実験で実現されてきたかが、液体窒素(90°K)、液体窒素
(74 °K)、水素(20 °K)と話されて、最後に液体ヘリウム(4.2°K)の話となり、
低温での奇妙な現象の典型例として超伝導と超流動が、絵とビデオを交えて
分かりやすく紹介されました。なかでも、超流動の重力に逆らって壁を
はい上がる液体ヘリウムにはみな驚いたようです。
話は、これらの現象の背景にある量子論の説明へと移り、極微の世界を
支配する法則は日常生活で培われてきた常識と全く反することがあり、
粒子的性質と波的性質を同時に併せ持つものがあること、
そして同じ粒子はまったく区別ができないことなどが紹介され、
現代生活の基礎となる法則の、常識とは異なる考え方に参加者はみな
戸惑っていたようです。
チンプンカンプンになるのかと恐れていたのですが、わたくしは、
わからないながらも何となくわかったような気になっていました。
話術の巧みさでしょうか。
量子論からボース・アインシュタイン凝縮という現象(ある温度以下では
最低エネルギーの粒子の割合が急激に増える現象)が起きること、
超流動・超伝導がその現れであること、そして新種のボース・
アインシュタイン凝縮の発見等についても紹介がありました。
1時間半の予定が盛りだくさんの内容で2時間超となりましたが、
ほとんどの参加者は最後まで熱心に聞き入っておられました。
量子論という難解な領域の話が終了後も質問をする人が何人もあり、
知的好奇心を大いに刺激されたようでした。