開催報告(第39回)

生物多様性シリーズ 8

周伊勢湾要素植物群

講師 : 岡島 徳岳
日時 : 2009年11月20日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

今回のサイエンスカフェは、地元に特有の植物を中心とした話であったので、見覚えのある植物も紹介され、親しみが持てたというのが、まず第一の感想です。

この地方特有の植物である『なんじゃもんじゃの木(一葉たご)』が白鳥の国際会議場脇の街路樹として植樹されていることをご存知の方はいますでしょうか。これを見るために、他府県からも見学バスが来るということなどは、地元民の我々でも知らないことでした。

話はタイトルにもある周伊勢湾へと入って行きます。伊勢湾を取り巻く湿地植物の分布と古窯の分布が重なっているという話ですが、その背景に、粘土層という地理学的要因があるというのは、とても興味深く伺いました。さらに、昔は東海湖という湖があり、それがだんだんと西に移動していったために、濃尾平野は東が高く西が低い、という地形の話も新鮮でした。だから、木曽川も伊勢湾にまっすぐには注ぎ込まずに、濃尾平野を東から西へ向かって流れ、養老山脈にぶつかったところで南下しているという話には、とても納得させられました。

次の植物は、伊勢湾沿岸のごく限られた湿地にしか生育しないというシラタマホシクサです。これをドライフラワーにした物を持ってきて下さったので、その特徴がよく分かりました。また、ウンヌケというススキに似た植物なども、ススキとともに現物を持って来ていただきました。マメナシ(アズキナシ)の実は本当にかわいらしい梨そのもののようでした。わざわざ本日の話題のために採集して来ていただいたそうです。ここをご覧になっている皆さんも、こういった地方特有の植物を、家の近くに探してみてはいかがでしょうか。

最後に、東海の生んだ植物学者の井波一雄先生の植物スケッチ(原画のコピー)を見せていただきました。植物の特徴もよくわかり、さらには井波先生の植物画の精密さは本当にすごいものだと感心させられました。先生の植物標本が県外に流出したことは残念ですが、原画は3,000枚ほどご自宅などに残されているということです。また、来年の早春には東山植物園でこの原画展が催されるということです。皆さんも是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

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