開催報告(第40回)

生物多様性シリーズ 9

貝のはなしあれこれ
  〜食卓にのぼる貝・外来種・化石など〜

講師 : 川瀬 基弘
日時 : 2009年12月18日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

今年最後のサイエンスカフェは生物多様性シリーズの第9回目ということで、この地域を中心とした「貝」にまつわる話を、愛知みずほ大学の川瀬基弘先生がしてくださいました。先生は、小学生の頃から化石やその発掘に興味を持っており、それが高じて古生物学研究者になられたそうです。

話は貝の定義から始まりました。私たちは、あさりのような二枚貝や、オウム貝のような巻貝といった程度の分類は知っていますが、そもそも貝というのはタコと同じような軟体動物に属するものだそうです。その中に、斧足類、腹足類、掘足類…といった細かい学術的な分類が存在するそうで、それらをきれいな写真と共に紹介して下さいました。しかし、見た目や名前は貝のようであっても、実は貝でないものもあるようです。興味のある方はどんなものか画像を探してみて下さい(エボシガイ、ミョウガガイ、モミジガイ…など)。

続いて、タイトルにもあった食卓に上る貝の話です。ハマグリ、アサリ、シジミあたりが代表的ですが、一部には絶滅寸前のものもあるそうです。ところがこれらの貝は、お店で見ることがあります。例えばハマグリ。実際には、ほとんどがシナハマグリという別種で、本来のハマグリはまず見ることができないということです。標本を見ると違いはわずかで、素人目には区別のつきにくいものでした。そういった外来種がどうやって日本に定着するかという話ですが、貝類の子供はプランクトンなので、外国から輸入されたものが何かの拍子で放流されてしまうと、あっという間に繁殖・拡大してしまうとのことでした。

この辺りで休憩となりましたが、持参していただいたたくさんの標本(=貝殻)の前に先生、参加者ともに集まり、質問タイムとなりました。質問は尽きることがなく、ほとんど休憩になっていないようでしたが…

休憩後は化石の話から始まりました。今から約380万年前、三重県安濃町付近に湖があったことが、発掘調査から得た化石により分かったそうです。一方、日本最大の湖、琵琶湖。これまた歴史の長い湖で、南から長い時間をかけて北上しているそうですが、三重の古代湖と同じ生態系を有していることが、やはり発掘された化石から判明したということです。そこから推測されるのは、かつて琵琶湖は三重県にあり、隆起した鈴鹿山脈によって分断もしくは北方に移動したのではないかということだそうです。

同様の話として、この地方に存在したであろう東海湖の話もされましたが、ちょうど先月のサイエンスカフェでもその話題が挙がったところでした。また、蛍のエサとしての巻貝ということで、名古屋城や相生山緑地のヒメボタルの話題にもなりましたが、これまた幾度となくサイエンスカフェ、特に生物多様性シリーズで取り上げられています。先生方それぞれの研究対象は異なっていても、同じものを見ているのだなぁと感じた今回のサイエンスカフェでした。

最後に、先生からきれいな貝殻をお土産としていただきました。どうもありがとうございました。

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