開催報告(第43回)

星の誕生と進化の話

講師 : 杉谷 光司
日時 : 2010年4月16日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

第43回サイエンスカフェは、4月16日(金)に、おなじみの7th Cafeにて開催されました。テーマは「星の誕生と進化の話」、天文学が専門の杉谷教授が担当し、43名という多くの方にお越しいただきました。

話は恒星の定義は何だろうというところから始まり、恒星の距離や組成、表面温度について、質問を交えたイントロダクションが展開されました。その特徴として、恒星(主系列星)のエネルギー源は水素核融合反応であり、この核融合反応の始めがゆっくり起きることで、太陽のような恒星の寿命が長くなっていることが解説されました。

次は恒星の組成についての話です。 恒星の主な組成は水素だそうで、水素が豊富に存在するところが恒星の誕生する場所であろうという話でした。そこで、水素の銀河系における分布と存在状態について解説がなされました。また水素は、密度が低くて非常に高温の状態ではコロナルガスとして存在しているそうで、温度が低くなり密度が高くなると水素原子ガスとして存在し、最も温度が低くて密度が低い状態では水素分子ガスとして存在することが解説されました。そして、最も密度が高い水素分子ガスの塊である分子雲では部分的に重力が強くなりコア(分子雲コア)が形成され、その中で恒星の元となる原始星が誕生するそうです。こういった複雑な過程が、多くの天体画像とともに説明されました。

休憩を挟んだ後半では、分子雲コアの重力収縮により第1のコアと第2のコアが形成されて恒星の元(原始星コア)になることが、最近の理論的研究から明らかにされていることが紹介されました。また、原始星の時期には周囲から原始星コアにガスなどが降着して星の質量が増大するだけでなく、降着するガスの一部はoutflowとして外側に吹き出すことも紹介されました。そして、ガスの降着やoutflowにより原始星の周囲の物質が減少すると、原始星は原始惑星系円盤を伴う前主系列星となり、ゆっくり収縮を始めてやがて星の中心の温度が水素核融合反応が起きるほど高温になると、恒星(主系列星)になるといった、本日のメインテーマが解説されました。

話は予定時間を少し超過したため最後に十分な質問時間を取れませんでしたが、参加者の皆さんは話に熱中していたように思いました。

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