開催報告(第44回)

自立の鍵は筋パワー
  〜あなたの足は大丈夫〜

講師 : 竹島 伸生
日時 : 2010年5月21日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

5月21日(金)、第44回サイエンスカフェ(話題提供者:竹島)が7th Cafeで行われました。事前の申し込み者に加え、当日の参加者が10名を超えたため総勢70名弱にもなり、この企画が始まって以来最大級の人数での開催となりました。

タイトルは『自立の鍵は筋パワー 〜あなたの足は大丈夫〜』というものでした。話題提供者は、加齢に伴う体力や運動能力の低下を防ぐ対策などを中心に、国内外(主としてアメリカ)の最近の研究データなどを示しながら、判りやすく解説していました。

高齢期にはADL(人の介助無しに食事・更衣・移動・排泄・入浴などの日常の生活動作ができること)の維持が重要であり、そのための運動の意義が強調されました。その際、膝が痛いために家から出ることも億劫がり、運動など無縁であった90歳を超える老夫人が、素早い椅子からの立ち上がりと座りを繰り返す運動を、初めはしぶしぶ行っていたのが、2年後には60代と見紛うほどのできるようになった映像を見た聴視者からは感嘆の声があがっていました。

また、筋肉には大きく2つの違うタイプがあることを説明したうえで、高齢期には持久的筋力の衰えよりも、瞬発的筋力の衰えが大きいことを、青年期のアスリートからマスターズの選手までの100m走と1500m走の記録を比較して説明した時には、多くの参加者が目を一層輝かせて見聞きしていました。途中椅子の座り立ちに伴う動的パワーの測定を参加者の中から2〜3名に行い,その水準を研究成果と対比して自立していくために必要なパワーの推定値を紹介していました。

最後は、ゴムバンド(セラバンド)を全員に配り、それを使ったトレーニングの方についての実演があり、各人が興味深かげに試していました。

初めから休憩も取らず、およそ100分間連続の講演であったにもかかわらず、参加者は話に聞き入っていました。テーマが日常生活に即したもので、関心のある内容であったとはいえ、演者が取り組んでいる体力、運動能力向上のための具体的研究実践例を提示しながらの話の進め方、まとめ方が巧みであったために、極めて熱心な聴視姿勢が生まれたものと思われます。

最後の20分を質問時間としましたが、セラバンドの負荷の掛け方やその使い方などに関する質問があり、動作を交えての解説が行われました。

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