開催報告(第47回)

生物多様性シリーズ

人類の未来を支える植物バイオテクノロジー

講師 : 木藤 新一郎
日時 : 2010年8月20日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

近年、様々な遺伝子組換え作物が開発され、世界中で栽培されています。その生産量は増加の一途を辿っていますので、近い将来、我が国にも大量の遺伝子組換え作物が輸入され食卓に上ると予想されます。しかし、遺伝子組換え作物が生産される理由や作成方法に関する情報は乏しく、一般市民の食に対する不安は募るばかりです。今回は、それら遺伝子組換え作物について知ってもらうため、組換え作物の現状とその作成方法である植物バイオテクノロジーについての話題が提供されました。

はじめに、話題提供者から参加者39名に対して、遺伝子組換え作物という言葉に対して肯定的に見ているか否定的に見ているかというアンケートが行われました。一般には7割を超える方々が否定的な意見ですが、今回のアンケートでは約半数にとどまり少し意外でした。

まずは、遺伝子組換え作物を作るための技術(アグロバクテリウム法)と現在開発されている遺伝子組換え作物について話からはじまりました。なぜ植物のゲノムDNAに外来の遺伝子を組み込むことができるのか、従来の交配による品種改良と比較して何が違うのか等についての説明に続き、実際に栽培されている害虫抵抗性作物やウイルス抵抗性作物、除草剤抵抗性作物などの紹介がありました。話の途中で「品種改良に活用する有用な遺伝子はどの様に探しますか」等の現実的な質問も多く寄せられ、植物バイオテクノロジーに対する関心の高さを伺うことができました。その後、世界における遺伝子組換え作物の栽培状況やそれらを取り巻く様々な問題点などが詳しく説明されましたが、それに対して参加者からは生態系への影響や人体への影響を危惧する意見も多く寄せられていました。

講演時間終了後も参加者と話題提供者の間で活発な意見交換がしばらく続き、市民の方々が遺伝子組換え作物について考える良い機会になったのではないかと思います。

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