開催報告(第54回)

常識をささえる非常識
  〜ミクロの世界の不思議な法則〜

講師 : 徳光 昭夫
日時 : 2011年5月20日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

第54回のサイエンスカフェは「常識をささえる非常識〜ミクロの世界の不思議な法則〜」と題して、5月20日に栄・ナディアパークの7th Cafeで催されました。

今回は、ミクロの世界の法則である量子力学の考え方を分かりやすく解説することを目指しました。しかし冒頭で、「わかった気にはならないと思いますが、それは分かるということが日常経験に基づいた判断であり、量子力学の法則は日常経験に反するからです」と、注意すべきポイントが述べられました。

まず量子力学が実生活を影でどのように支えているかが、半導体技術や医療技術の例を挙げて解説されました。

量子力学が日常の感覚と大きく異なるのは、「状態の重ねあわせ」という概念です。たとえば2つの箱の中のいづれかに1つの球が入っていて、箱の蓋を開けてみるまでどちらに入っているかわからない場合を考えます。普通は「球はどちらかに入っているが、わからない」と考えますが、量子力学では「球がどちらに入っているかは蓋を開けるまで決まっていない」と考えます。

具体的なイメージをつかむために、光の偏光を例に取り、偏光板を通してみた時の光の透過が「偏光の重ねあわせ」という考えで理解できることを説明されました。

このような、日常経験に基づいた直感に反する法則はアインシュタインでさえも受け入れなかったこと、しかしその後の実験で正しいことが確かめられていることが紹介されました。

すぐには理解しづらい考えでしたが、熱心な質問がいくつか講演後になされました。また、一般相対論との関係などの質問も出て、知的好奇心を持った聴講者の熱意を感じさせるサイエンスカフェでした。

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