開催報告(第55回)

身の回りにあふれる色
  〜光と分子の織りなす世界〜

講師 : 桑江 彰夫
日時 : 2011年6月17日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

第55回のサイエンスカフェは「身の回りにあふれる色〜光と分子の織りなす世界〜」と題して、6月17日に栄・ナディアパークの7th Cafeで催されました。

光の無い暗闇では色も無いという話から始まり、そのため色を考えるためには光とは何かということを少し理解してくださいと続きました。我々が光と呼んでいるものは、様々な名前で呼ばれている電磁波の極一部分で、その波長によって色が違うこと、物質の色とは一部の光を吸収することで他の部分が目に入ることで生じていることが述べられました。これを自分で確かめるため、手持ち分光器と4枚の色つきフィルターが全員に配られ、分光器でフィルターを通ってきた光を見て、今の話を実感しました。この辺りから会場の雰囲気が和んできて、質問も出始め、講師も調子に乗ってきたようです。やはり自分の手を動かして理解するというのはいいものです。

では色の基になっているのは何か、それは分子でありその中のπ電子だという話になり、急に難しくなってきましたが、ミクロな見えない世界の事を理解しようというのですから仕方がないかもしれません。講師も雰囲気を理解してくださいと弁解していました。つぎに環境が変わると色が変わる分子を例に挙げて、この変化のメカニズムを知ると色に対する理解が深まると言われるのですが、ややこしい化学式が出始めました。このメカニズムを知る手法はラマン分光法であるとのことで、その原理が示されました。これを80年前にインドで発見したラマンさんの逸話は面白いものでした。それに続いて変色に関する講師のグループが以前行った仕事、今研究して悩んでいることなどが述べられました。

一時間半で「トマトの色はなぜ赤く見える」から「分子の形と色の関係」までの話を聞きました。ちょうど座席が一杯になる程度の参加者数で、質問も次から次へと出されて、とても雰囲気の良いサイエンスカフェだったと思います。

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