開催報告(第57回)

生き物としてのウイルス
  〜インフルエンザから口蹄疫まで〜

講師 : 鈴木 善幸
日時 : 2011年8月19日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

まずはじめに、生き物は38億年もの間、途切れることなく命を繋いできており、私たちはその一端を担っているのだという、一見ウイルスとは関係なさそうなお話から本日のサイエンスカフェは始まりました。進化は時間経過にともなう生物集団レベルでのゲノムの塩基配列の変化であって、それに種分化が加わって、一つの大きな生物の系統樹が築き上げられてきたこと、そしてその系統樹のどこにウイルスが入るのかは実はまだ分かっていないことなどが語られました。生きていることってすごいんだなあとあらためて感じさせられました。

そこから、私たちが普段使っている「バイ菌」には「細菌」と「ウイルス」が含まれていて、それらは実は全然違う生き物だという話になりました。人間を本州だとすると、大腸菌は人間くらいの大きさで、インフルエンザウイルスがテニスボール、口蹄疫ウイルスが一円玉くらいの大きさだと聞かされたときには、ウイルスの感染防御は難しいんだろうなあと直観的に感じさせられました。私たちの体の中では免疫が頑張っているけれども、ウイルスは超高速に進化して免疫の攻撃から逃れてしまうとのことですので、ウイルス感染症をなくすことができるのか、少し不安になりました。

インフルエンザウイルスのすべてのサブタイプは昔から水鳥が保有していて、それがときどき人間に入ってきてパンデミックを起こし季節性として定着する。口蹄疫ウイルスは実は今も世界各地で感染を起こしている、などのお話はとても興味深かったです。また、最近のウイルス研究から、私たちのゲノムの中にもいろいろなウイルスが大量に入り込んでいることが分かってきたそうですが、ウイルスがもしかしたら私たちの体の中で何か役に立ってくれているのではないかと期待するとともに、ウイルスが少し身近なものに感じられるようになりました。

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