開催報告(第60回)

色覚バリアフリーのための画像処理
  〜見分けやすい色への変換〜

講師 : 田中 豪
日時 : 2011年11月18日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


第60回サイエンスカフェは、11月18日(金)に中区栄の7th Cafeで開催されました。この日は、コンピュータ処理により見やすい配色の画像を得る方法(色覚バリアフリー化色変換)の紹介がありました。話題提供者は、名古屋市立大学システム自然科学研究科講師の田中豪氏です。

まず、ヒトの色覚についてのお話がありました。ヒトの目には色を感じるための細胞が3種類あり、これらの働きによって様々な色を認識しています。このように、3種類の視細胞による色覚は3色覚と呼ばれます。一方で、3種類の視細胞のうちいずれかを欠いた場合は2色覚と呼ばれ、識別が困難な色の組み合わせがあります。そのような色の組み合わせの例が紹介され、また、2色覚の視界を体験するメガネも回覧されました。3色覚では目立つ色の組み合わせでも、2色覚ではかなり似た色に見え、目立たない場合がありました。男性の約2%は2色覚であるという統計も示され、見やすさのために配色に気をつける必要性があることを感じました。

続いて、ディジタル画像処理に関する基本的な事柄の説明があり、色の表現方法についても紹介がありました。色は「明るさ・色相・鮮やかさ」の3要素で表現することができます。2色覚において見分けにくい色を変更し、見やすい配色の画像を得る処理方法(色覚バリアフリー化色変換)が説明されました。まず、明るさを適切に変更することで色覚バリアフリーを実現する方法が述べられました。明るさを変更する際、不用意に変更すると、見分けにくい色の組み合わせが新たに発生する可能性があります。その事態を回避するために、数学的な方法が使われます。少し長い数式がでてきて難しい面はありましたが、画像処理の裏側の雰囲気を味わうことができました。明るさの変更の他に、色相と鮮やかさを変更することや錯覚を利用する色覚バリアフリー例も紹介されました。

質問の時間では、ヒトと昆虫の色の見え方の違いなどさまざまな話題が挙がり、活発なやりとりがなされていました。色の見え方という身近なテーマから始まり、参加者の方々にも色々なことを考えて頂けたサイエンスカフェだったと思います。

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