開催報告(第73回)

植物の環境適応戦略

講師 : 木藤 新一郎
日時 : 2013年1月18日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


植物は、発芽した場所から移動することができません。よって、自らが置かれた環境に適応できなければ、成長して花を咲かせ、次の世代に命をつなぐこともできません。その為、植物は環境に適応する優れた能力を進化の過程で獲得しています。今回は、それら植物が持つ様々な環境適応能力のうち、低温耐性や低温回避についての話題を提供しました。

はじめに、地球上に植物が誕生してから現在までに何度も地球の平均気温が低下したことを説明し、それら過酷な低温環境に適応するために進化した植物が存在することを紹介しました。その後、その過程で植物がどの様に姿形を変えたのか、さらには植物が低温に耐えるために獲得した生理機構について説明しました。生体膜の流動性維持機構や適合溶質による脱水防止機構など専門的で少し難しい話もありましたが、写真やイラストを使って説明しましたので、参加者の皆さんも理解しようと聞き入っているようでした。また、後半には広葉樹が冬に備えて紅葉・落葉する理由や、ムギなどの植物が冬の低温を経験しないと花を咲かせない理由などの説明をしました。身近な植物の話でもあることから皆さん興味深く聞かれていました。

今回の参加者は34名でした。参加者からは多くの質問が寄せられ、活発な意見交換がされていました。市民の方々が植物の優れた能力について理解する良い機会になったと思います。講演後に行ったアンケートにも楽しく聞けたとの回答が多く寄せられていました。

木藤 新一郎(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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