開催報告(第81回)

植物利用テクノロジーから考える未来像

講師 : 湯川 泰
日時 : 2013年10月18日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


私たちの身の回りには科学や技術に関する情報があふれています。一方、東日本大震災以降、科学技術に対する信頼が著しく低下しました。「期待していたのに、こんなはずではなかった」という感覚に誰もが陥ったと思います。本来、生活の質を高め幸福になるための科学技術が、どうしてこんなにも脆弱だったのでしょう。今回のサイエンスカフェでは、科学の方法論の根本に立ち返って考え直してみました。科学とは、デカルトの合理論とベーコンの経験論をうまく組み合わせた、とても効果の高い真実に近づく方法論です。我々は、今一度原点に立ち返って、現在ある事象を認識し直す必要があると思います。

現在は情報に溢れていますが、正しい情報にたどり着くのは容易なことではありません。巷に溢れる、誤った常識、認識を排除するにはどうしたらいいのか、植物のバイオテクノロジーを題材として更に敷衍しました。植物の遺伝子を操作して、人為的に新しい作物を作るということは、技術的にどのようなことをしているのか、わかりやすく解説しました。その上で、安全性と危険性について、考えてみました。最終的な判断は個々人に任せることになりますが、最大限その助けとなるよう心がけました。また、技術的問題を克服して、その先にどのような未来が描けるのか、実例を挙げ、解説させていただきました。少々、内容を欲張ったせいで、討論の時間が限られてしまったことを後悔しておりますが、有意義な時間が共有できたと思います。今回、足をお運びいただいた皆様に深く感謝申し上げます。

湯川 泰(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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