開催報告(第82回)

身の回りにあふれる色
  〜光と分子の織りなす美しい世界〜

講師 : 桑江 彰夫
日時 : 2013年11月15日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


街には色があふれています。ショーウインドウの中には色とりどりの服がならび、レストランでは色彩豊かで食欲をそそる料理が提供されています。これら色の出所はどこなのでしょうか。光の無い暗闇では、色はもちろん物体そのものが見えません。ということは、光と物質の相互作用で色は生ずるのです。もっとつきつめると、その原因は光が物質のもとになっている分子に吸収されることなのです。

今回のサイエンスカフェでは、最初になぜ色は出るのだろうかということを話しました。参加者の皆さまと手持ち分光器で室内照明やフィルターを覗き、光の三原色と混合を体験しました。また人間の目はどのように光と色を識別するのかという話題も含めましたが、これには興味をもたれた方が多く、講演後に多くの質問が寄せられました。後半はどのような形の分子が、そして分子の何が色のもととなっているのか、これを調べるのはどういう手段をもちいるのかということがらを解説しました。π電子、分子の振動、ラマン分光法などの専門的な内容が出てきましたが、本当に真剣に聞いておられて、話す方も力が入りました。数多くの、しかも多様な質問が出て、演者の専門でない分野は、司会をしている視覚情報の先生が答えるという、楽しくも有意義な時間を持つことができました。

色という身近のものを通して、生体や物質を構成する最も小さな要素である分子を少しでも身近に感じていただけたかなと思っております。

桑江 彰夫(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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