開催報告(第85回)

パラドックスが導く論理の限界
  〜ウソつきは学問の始まり?〜

講師 : 田中 豪
日時 : 2014年3月14日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


「クレタ人はみな嘘つきである」とクレタ人が言った場合、クレタ人は嘘つきなのかそうではないのか?クレタ人が嘘つきとすると「嘘つきである」ことが嘘なので正直者であり、正直者であるとするとその人が「嘘つきである」と言っているのだから嘘つきなわけで……。一見、この「嘘つきのパラドックス」は単なる言葉遊びのように思えます。このパラドックスの本質は自己言及にありますが、この「自己言及」という行為は数学においてさまざまな問題を引き起こしました。今回のサイエンスカフェでは、その一つの終着点である「ゲーデルの不完全性定理」についてお話しました。

ゲーデルの不完全性定理は「算術を含む無矛盾な体系(いわゆる数学)には証明できない命題がある」というものです。この定理の証明には自己言及が顔を出します。今回は、嘘つき(自己言及)のパラドックスを軸として不完全性定理に触れるお話をしました。

今回のサイエンスカフェでは、幅広い年代の方に多くご参加頂きました。ややこしい内容のお話でしたので、またどこかで機会がありましたら、もう少し工夫してお話できればと思っています。

田中 豪(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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