開催報告(第93回)

ことばを聴く脳,聞き流す機械

講師 : 中村 篤 氏(名古屋市立大学システム自然科学研究科・教授 / 専門:音声言語処理・情報系列学習識別)
日時 : 2014年11月21日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


人間は「社会的な動物」と言われています。人間以外にも社会性を持つ動物は存在しますが、人間は社会性の枠組みの中で個体間での多様な協業・競争を経て例外的に高度化し、今の姿に至っています。この背景には人間のみに備わった、高いコミュニケーションの能力があり、その中心を担うのが、ことば、すなわち音声を発し、聴く能力です。

近年、スマートフォンで音声検索のサービスが提供されるなど、いわゆる音声認識技術が身近なものになってきました。いよいよ、人間だけでなく、機械にも音声を聴く能力が備わったのか、あるいは将来備わり得るのか?今回のサイエンスカフェは、このテーマについて、人間の音声生成,音声知覚の仕組みと照らし合わせながら、皆様と一緒に考えてみる機会とさせていただきました。

音声に纏わるテーマはどれも奥深く、私自身がいまだ学びの途上にあります。今回、有難くも沢山の方にお越し頂き、多くの質問を頂戴しました。どれも的を射たもので、お陰で私にとっても非常に有意義な2時間となりました。音声の生成、知覚にともなって体の中で起きている現象は、極めて繊細で緻密なものですが、私たちはそれを意識せずに過ごしています。今回のお話がそういったことへの「気づき」のきっかけになれば幸いです。


中村 篤(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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