開催報告(第95回)

健康な筋肉を獲得するには?
〜運動による筋肉適応のしくみ〜

講師 : 奥津 光晴 氏(名古屋市立大学システム自然科学研究科・講師 / 専門:運動分子生物学)
日時 : 2015年1月16日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


 定期的な運動は健康の維持増進に効果があることは良く知られています。しかしながら、その分子メカニズムは未だ解明されていないことが多くあります。第95回サイエンスカフェイン名古屋では、「健康な筋肉を獲得するには? ~運動による筋肉適応のしくみ~」 をテーマに、運動による健康獲得の分子メカニズムを解明することの意義と最新の研究成果について話題提供させて頂きました。

 前半は骨格筋の分類や骨格筋の肥大と萎縮の分子メカニズムを紹介し、後半は運動による骨格筋の適応や近年発表された最新の論文のデータなどを紹介しながら、運動による骨格筋適応の重要性を紹介致しました。
 当日は多くの方にご参加いただきました。参加された皆様は私の話に熱心に耳を傾けてくださいました。前半では、「強い力を発揮するが持久力に劣る速筋と発揮する力は弱いが持久力に優れた遅筋の機能や形態の違いは?」や「どのようにすればこれらの筋肉を効率良く獲得する事ができるか?」などの質問を頂きました。また、後半に紹介した最新の論文データでは、「骨格筋の適応に重要な役割を果たす分子は理解できたが、これはどのような運動をすれば獲得できるのか?」や「運動以外にこの分子を増加する方法はないか?」などの質問を頂きました。いただきました質問の多くが重要な内容であり、質問に的確にお答えすることができず尻込み場面もあったように思います。

 運動の身体の適応を単なる現象論のみの議論にとどめず、分子レベルから解明し健康科学や予防医学に応用することは今後ますます重要になると考えています。本研究分野の重要性が参加者の皆様にもご理解いただけたのではないかと感じております。話題提供の最後に「運動が嫌いな方はいらっしゃいますか?」とお聞きしたところ、嫌いとおっしゃられた方はいらっしゃいませんでした。今回のサイエンスカフェが参加頂きました皆様の運動を通じた健康の維持増進に役立てば幸いです。


奥津 光晴(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

[戻る]