開催報告(第97回)

有機物で磁石をつくるには

講師 : 藤田 渉 氏(名古屋市立大学システム自然科学研究科・教授 / 専門:物性化学)
日時 : 2015年3月20日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


 人類と磁石との間には長い歴史があります。人類は様々な時代で、磁石を利用し、そして文明を発展させることができました。今日の我々の豊かな生活が成り立つのは、磁石のおかげと言っても過言ではありません。より強力な磁石を求めて、多くの研究者が日々努力しています。世界最強の磁石であるネオジム磁石が日本人の手で発見されたことは非常に誇らしいことです。

 我々の身の回りにある磁石は無機物でできています。有機物で磁石をつくろうとする、非常識への挑戦とも言える研究は1950年頃に着手されました。今回のサイエンスカフェでは、まず前半では、磁石とはどういうものかを、演示実験を交えて説明し、後半では、有機物で磁石をつくるための要点と、開発過程における苦労話について紹介しました。今回の要点として、1.物質の磁性の源は不対電子である、2.物質の中では不対電子の磁石の向きが同じか、反対向きになろうとする性質がある、3.物質の磁性は温度に依存する、そして、4.有機物の磁石は日本人の手によって発見された、いうことをお伝えしたかったのですが、磁石を見かけられたときに、これらのことを思い出していただければと思います。

 説明が不十分で分りにくい点が多々あったかと思いますが、質問をいただけたのは幸いでした。最後に、会場にお越し頂いた方々に心よりお礼申し上げます。


藤田 渉(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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