開催報告(第108回)

生態学最前線
−昆虫の脳から地球環境問題まで−

講師 :

日時 : 2016年04月15日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


 私たちは、多くの生物や非生物を含む生態系の中で生きています。このような生物と環境の相互作用を俯瞰的に理解しようとする学問が生態学です。今回のサイエンスカフェでは、『生態学最前線』と題して、様々な分野と融合しつつある生態学の最前線に関する話題を提供させて頂きました。



 前半では、石川由希(名古屋大学)が専門とする神経科学と生態学とのつながりをご紹介させて頂きました。神経科学は「行動」「言語」「知性」「心」「感情」などの脳機能がどのような仕組みによって生み出されるのかを理解しようとする学問分野です。私たちが生態系の中で生きている以上、このような脳機能もまた他者や環境と無関係ではありません。脳が他者や環境との関係の中でどのように機能するのか、また他者や環境の影響をどのように受けるのか、という問いは生態学の最前線で扱われる重要な問題です。昆虫の脳は、ヒトの脳の十万分の一の細胞で構成されているにも関わらず、ヒトと共通した動作原理や高度な機能をもちます。そこで、「親心」「失恋」「学習」という3つのトピックに着目して、昆虫の脳の持つ(意外に?)高度な機能を紹介しました。後半では、村瀬香(名古屋市立大学)が、行動生態学の最近のトピックをご紹介させて頂きました。ヒトの性格は変えることが出来るのでしょうか? 最近の遺伝学やふたごの研究の成果から、遺伝の関与が大きいとされものと、そうでないとされるものをご紹介させて頂きました。さらに、農薬や遺伝子組み換え作物などを材料に、生態学の観点から、食の問題や環境問題についてもお話させて頂きました。

 当日は、会場の人数と熱気に驚きました。お越し下さった皆さまにおかれましては、お時間を作って頂きありがとうございま した。ここに心よりお礼申し上げます。また楽しみにして下さった方、ご質問して下さった方、アンケートにご協力下さった皆さま、どうもありがとうございました。


村瀬 香(名古屋市立大学システム自然科学研究科)
石川 由希(名古屋大学理学研究科)

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