開催報告(第113回)

101年目に学ぶアインシュタインの相対性理論

講師 : 青柳 忍 氏(名古屋市立大学・准教授 / 専門:構造物性物理学)
日時 : 2016年09月16日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


 アインシュタインは、いまから100年前の1915~1916年にかけて一般相対性理論を発表しました。そして今年の2月には、アインシュタインが100年前に予言していた重力波の存在が、ついに証明されました。この物理学史上偉大な1年を記念して、今回のサイエンスカフェでは、アインシュタインの相対性理論の基礎をお話ししました。

 最初に古典力学での相対性原理を説明した後、一方で光はそれに従わないことを紹介しました。光が波動であることを実感してもらうため、二重スリットによるレーザー光の回折現象を演示しました。次に、アインシュタインが提案した光速度不変の原理を基礎とすることで、光にも成立する座標変換としてローレンツ変換が導かれること、またローレンツ変換により運動している物体の長さの収縮や時間の遅れといった奇妙な現象が発生することを紹介しました。

 5分間の休憩をはさんで後半では、まずアインシュタインが導いた有名な公式であるE = mc2の導出方法と、その意味を解説しました。更に、一般相対性理論の基礎となる等価原理を説明し、重力によって時空がゆがむという概念が生まれることを紹介しました。時空のゆがみはアインシュタイン方程式によって記述され、この方程式より重力波が予言されます。またアインシュタインは宇宙が静的であると考えて、この方程式に宇宙項を追加しましたが、その後の観測により、実は宇宙は加速的に膨張していて静的ではないことが分かってきたことを最後に紹介しました。

重力波や宇宙項については、もうすこし丁寧に紹介したかったのですが、内容を盛り込みすぎたせいか、ペース配分が悪かったのか、時間が足りなくなってしまい十分な説明ができず残念でした。多くの方にお越し頂き、会場は満席でした。また素朴かつ鋭いご質問・ご意見を多数頂き、講演者自身にとっても相対性理論について理解を深める、絶好の機会となりました。ご清聴ありがとうございました。


青柳 忍(名古屋市立大学システム自然科学研究科)

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