開催報告(第116回)

運動による健康獲得のしくみ

講師 : 奥津 光晴 氏(名古屋市立大学システム自然科学研究科・講師 / 専門:運動分子生物学)
日時 : 2016年12月16日
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)


 運動は私たちに健康をもたらしてくれます。しかしながら、その分子メカニズムは未だ解明されていないことが多くあります。第116回サイエンスカフェイン名古屋では、「運動による健康獲得のしくみ」 をテーマに、運動による健康獲得の分子メカニズムの解説とこれを解明することの意義について最新の研究成果を交えながら話題提供させて頂きました。

 前半は骨格筋の分類、骨格筋の恒常性維持に必要な因子とこれら因子の運動による変動について分子レベルから紹介し、後半は動脈硬化症の概略、発症のメカニズムと運動による動脈硬化症予防を分子レベルから紹介致しました。

 当日は多くの方にご参加いただきました。参加された皆様は私の話に熱心に耳を傾けてくださいました。前半で紹介した筋肉に関する話題では、「加齢による骨格筋の萎縮を予防する因子は何か?」や「運動方法により健康を増進する因子の変動は異なるのか?」などの質問を頂きました。また、後半に紹介した動脈硬化症の話題では、「形成された動脈硬化層は運動をすると消失するのか?」や「運動以外に動脈硬化症を軽減する方法はないか?」などの質問を頂きました。いただきました質問の中には的確にお答えすることができず、私自身、さらに勉強が必要だと痛感致しました。

 運動を行うと私たちの身体は適応します。これを単なる現象論のみの議論にとどめず、分子レベルから解明し健康科学や予防医学に応用することは今後ますます重要になると考えています。本サイエンスカフェを通じて私が遂行している研究分野の重要性もご理解いただけたのではないかと考えております。

 参加者の皆様に「運動が嫌いな方はいらっしゃいますか?」とお聞きしたところ、嫌いとおっしゃられた方はほとんどいらっしゃいませんでした。今回のサイエンスカフェに参加頂きました皆様には運動を通じた健康獲得の推進をしていただけるものと考えています。


奥津 光晴(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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