開催報告(第135回)

筋肉の構造と機能

講師:奥津 光晴 氏(名古屋市立大学講師 / 専門:運動分子生物学)
日時 : 2018年9月21日(金)
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

私たちの体の約40%は筋肉(骨格筋)で形成されています。骨格筋は日常の活動や姿勢の維持などに必要なことはよく知られていますが、その他にも代謝や他の臓器の機能調節など様々な働きを持っています。また、骨格筋は外見では分かりませんが、異なる種類の筋線維がバランス良く束になり、私たちの活動様式に適した骨格筋を形成しています。第135回サイエンスカフェイン名古屋では、「骨格筋の機能と構造」をテーマに、骨格筋の様々な機能と詳細な構造について最新の研究成果を交えながら話題提供させて頂きました。

前半は骨格筋の分類と量や機能の維持に必要な因子を紹介し、後半は近年注目されている骨格筋が分泌する骨格筋の量や機能を制御する因子について分子レベルから紹介致しました。当日は大変多くの方にご参加いただきました。参加された皆様は私の話に熱心に耳を傾けてくださいました。前半で紹介した骨格筋の分類と量や機能の維持に必要な因子に関する話題では、前半終了後の休憩時間に「速筋と遅筋の形成は何が調節するのか?」や「筋肉が分泌する因子は何種類あるのか?」などの質問を頂きました。また、後半に紹介した近年注目されている骨格筋の量や機能を制御する因子の話題では、「どのようにしてこれらの因子が発見されたのか?」や「どのような運動をするとこれらの因子を効果的に増やすことができるか?」などの質問を話題提供後に頂きました。質問の中には正確にお答えすることができなかったものもあり、私自身、さらに勉強が必要だと痛感致しました。

骨格筋は環境に適応します。したがって、定期的な運動や良質な栄養摂取などにより骨格筋を良質な筋肉に変えることができます。この変化を単なる現象論のみの議論にとどめず、分子レベルから解明し健康科学や予防医学に応用することは、高齢化社会や食の欧米化が進む我が国において今後ますます重要な課題になると考えています。本サイエンスカフェを通じて私たちが遂行している研究分野の重要性もご理解いただけたのではないかと考えております。


奥津 光晴(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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