開催報告(第150回)

人工知能の過去・現在・未来

講師:渡邊 裕司 氏(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科・准教授 / 専門:知能情報学、情報セキュリティ)
日時 : 2020年1月17日(金)
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

最近何かと話題の人工知能(Artificial Intelligence: AI)について、人工知能が命名された1965年からの過去、現在、そして未来について話題を提供させていただきました。約2年前と同じタイトルのお話であったため、前回と重複する過去については適宜省きながら、最新の私たちの研究やいくつかの最新話題を新たに紹介しました。

まず、AIに関する写真、イラスト、動画、新聞記事などを挙げてAIの概要を説明しました。得体の知れないAI研究でいったいどんな手法が使われているかを少しでも知ってもらうために、話しの前半では過去から行なわれてきた「探索」や「知識表現」について、後半では第三次AIブームの基盤となるディープラーニングを含む「機械学習」について解説しました。

話しの前半では、身近な数独をAIの探索手法で解くコンピュータプログラムを実演しました。このようにAIで問題を解くためには、まず問題をコンピュータで扱えるようにする「知識表現」が必要です。そして、ハノイの塔という簡単な例題を使って、問題を状態・オペレータ・目標検査・経路コストの構成要素に分けて「探索」することを解説しました。将棋などのゲームも基本的にはゲーム木として「表現」し、Min-Max探索法により最善手を「探索」することを述べました。

話しの後半では、まずAI研究での「機械学習」の位置づけを示し、比較的分りやすい決定木学習について具体例で説明しました。そして、ディープラーニングのベースとなる脳神経系を模倣したニューラルネットワークを解説し、複雑なパターンを分類できる様子をデモサイト上で実感してもらいました。このニューラルネットワークを多層構造にしたものがディープラーニングであり、最新の私たちの研究結果とともに、特徴量抽出なしに高精度な分類が可能であることを示しました。最後にAI関連の最新話題を五つ紹介しました。

年明けのお忙しい中にも関わらず50名弱の方にご参加いただきました。お話だけではなく問題を解くなど聴衆にも頭や手を使っていただきました。難しい内容にもかかわらず、アンケート結果では7割以上の方がわかりやすかったとご回答いただきました。ご聴講いただきまして、誠にありがとうございました。



渡邊 裕司(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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