藤田_2 of 非コードDNA

ゲノムワイド解析による複製開始複合体形成制御とクロマチン制御連携の解明
藤田 雅俊

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九州大学 大学院薬学研究院医薬細胞生化学
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ヒト細胞において、複製開始複合体(pre-RC)形成部位の制御機構や、それらとクロマチン制御の連携機構は、ほとんど不明なまま残っています。そこで本研究では、①pre-RC因子ORC1、CDC6、Cdt1及びMCM7、②我々が同定したそれらと関連しているクロマチン制御因子、すなわち転写への関与も知られているSNF2Hおよび新規ヒストンシャペロンGRWD1、③ヒストンやその修飾、そして④クロマチン構造、などの時空間的・機能的連携(例えばpre-RC形成部位の決定やそれへのクロマチン構造の影響等)を、非コード領域を含めゲノムワイドに解析することを目的としています。その方法として、ChIP(クロマチン免疫沈降)や、FAIRE(Formaldehyde-Assisted Isolation of Regulatory Element)法によるオープン構造クロマチン領域の単離、などの方法で単離したゲノム配列を次世代シークエンサーで読み取り解析するという手法(以下Seqと略する)をとります。また、これらの一部はすでに解析されデータが公開登録されているものもあるので、そのようなものは登録データを使用する予定です。加えて、SNF2H、GRWD1をsiRNAで抑制し、pre-RC形成や周辺クロマチンへの影響も調べます。以上の結果について、バイオインフォマティクス的手法を適応することにより、ヒト細胞におけるpre-RC形成制御とクロマチン制御の有機的連携に関するより普遍的なモデルを得ることを目標としています。このような基礎研究は、がん細胞増殖制御を目指した低分子化合物の探索にもつながり得ると考えています。実際に我々の研究グループでは、pre-RC制御研究をベースに抗がん剤開発も試みています。