伊藤 of 非コードDNA

CpGアイランドを制御するCXXCタンパク質の機能解析 
伊藤 伸介

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理化学研究所 横浜研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター
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ゲノムの塩基配列には規定されない、いわゆるエピジェネティクな修飾は、個体発生 ・分化の過程において時間的・空間的に厳格な遺伝子発現制御を行う上で重要な役割を果たしている。このエピジェネティクな修飾にはDNAのメチル化やヒストンの多彩の化学修飾(ユビキチン化、メチル化等)がある。DNAのメチル化は、DNAメチル基転移酵素がCpGジヌクレオチド内のシトシンの5位の炭素にメチル基を付加することによって起こる。哺乳動物のゲノムでは約80%のCpGがメチル化修飾を受けている。このようなCpGにおける高頻度のメチル基獲得傾向と反して、一部の例外的なゲノム領域が哺乳動物には存在する。この領域はCpGアイランド (CpG island: CGI)と呼ばれ、平均して1,000塩基長のDNA中に高いGC含量、高密度のCpGジヌクレオチドをもつ等の特徴をもち、一般的にDNAメチル化を受けていない。興味深いことにCGIは、現在までに注釈のついた遺伝子の約70%の転写開始点前後に存在してプロモーターとしての機能をもち、遺伝子発現を制御する上で非常に重要な非コードDNA領域である。DNA配列をみてみると単にGCに富んだ領域ではあるが、転写因子やエピジェネティック修飾因子はCGIに結合し、巧妙に遺伝子発現制御を行っている。しかしながら、その制御機構はほとんど理解されていない。

本研究課題では、メチル化を受けていないCGIに結合するCXXCドメインをもつタンパク質に焦点を当てて解析して、CGIがDNAメチル化を受けない機構及びCGIによる遺伝子発現制御機構を解明し、CGIの生物学的意義を理解することを目指す。