小林班 of 非コードDNA

rDNA の不安定性が染色体及び細胞機能に与える影響
小林 武彦 (連携研究者:赤松 由布子)

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国立遺伝学研究所 細胞遺伝研究部門 
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リボソームRNA遺伝子(rDNA)は、同一配列が100コピー以上繰り返して存在する巨大反復配列群である。そのためrDNAは絶えずリピート間での組換え(コピー数の変動)を繰り返す最大の脆弱部位であり、細胞の老化を誘導し、DNAダメージに対する細胞の耐性を左右する領域である。またrDNAは遺伝子間に非コードDNA領域を有しその配列も含めてユニットとして反復しているため、1本の染色体の大部分を占める数メガの巨大rDNAにあっても、実質的には数キロの非コードDNA配列が繰り返し存在する単純な構造をとる。そのため染色体の安定性の制御に関わる配列(インターメア)はその数キロの非コードDNA領域に集中して存在することとなり、少し古い表現をすれば「インターメア銀座」である。

我々の研究によりそのコピー数を自由に変更できるようになった。これにより、例えば2コピーまで減らした株で非コードDNA領域に変異を導入し、それを数百コピーまで増幅させることにより、数メガに渡って同一配列に変異を入れることが可能であり、非コードDNA領域のゲノム維持機能を解析する上で絶好のモデル領域となっている。

配列解析に加えて酵母の遺伝子欠損ライブラリー(4,800株)を利用してrDNAの安定化に関わる遺伝子を網羅的に同定し、非コードDNA領域の染色体維持に果たす役割の解明を目指す。さらにrDNAの不安定化に起因した染色体全体の安定性の低下を防ぐネットワーク機構、またその破綻が細胞機能、特に老化に及ぼす影響について酵母と動物細胞を用いて解析する。