仁木 of 非コードDNA

染色体を折り畳むためのDNA領域の機能
仁木 宏典

niki.jpg


国立遺伝学研究所 原核生物遺伝研究室
研究室ホームページLinkIcon

染色体DNAは細胞内で折り畳まれることにより、その細胞長の千倍以上にもなる長い分子を安全に保持できる。これは、大腸菌などの原核生物にも当てはまる。そして、折れ畳みの基本原理であるDNAの超らせん化とコンデンシンによる凝縮化という機構は、真核細胞と原核細胞の間で驚くほど共通している。またさらに凝縮化したバクテリア染色体が作る核様体は、細胞周期に応じてその位置や形を変え、時空間の制御を受けていることも判ってきた。本公募研究では、原核細胞のゲノム染色体の折り畳みに必要なゲノムの情報に着目し、その構造や配置を時空間で制御するゲノム内に隠された機能の解明に取り組む。まず核様体の本質的な機能を明らかにするため、大腸菌染色体の一部を切り取り、第二染色体として維持させ、バクテリア染色体の折れ畳みをの仕組みを研究する。すなわち、第二染色体をプラスミドDNAの大きさのレベルから染色体DNAの大きさのレベル(数kbp-720kbpまで)で解析し、細胞内でプラスミドDNAの構造から染色体DNAの構造へと変換する過程を明らかにする。他方、細胞内で折り畳まれる染色体配列の特性についても、大腸菌のコンデンシンであるMukBタンパク質の細胞内での機能解析を通じて明らかにしていく。MukBタンパク質の局在の研究から、MukBタンパク質は核様体当たり一個の凝集中心を形成することが知られている。これが染色体のどのような領域であるのか未だよく判っていない。第二染色体化した様々大きさのDNA配列を使うことで、染色体DNA領域とMukBの凝集中心が規定されるメカニズムを調べことが可能である。また、MukB欠損変異株から復帰変異株を分離しており、この変異株から染色体凝縮を補正しているメカニズムを明らかにする。