仁木_2 of 非コードDNA

バクテリアの核様体形成を促進するrDNA領域の分子機能
仁木 宏典

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国立遺伝学研究所 原核生物遺伝研究室
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バクテリアの染色体DNAは細胞内で折り畳まれ、核様体という構造を取る。折り畳みの基本原理は1)DNAの超らせん化と2)コンデンシンによる凝縮化である。DNAのらせん化は、トポイソメラーゼによる反応が解明されているのに対して、コンデンシンの機能については不明な点が多い。原核生物のコンデンシンは構造的に真核生物と共通していることから、その機能も類似しているであろう。バクテリアの核様体の構造形成を通じて、コンデンシンの分子機能を明らかにすることが本研究の主目的である。
 枯草菌ではコンデンシンがrDNA遺伝子領域に結合することが報告されている。また枯草菌のrDNA領域が核様体形成に関与すること(Yano et al, 2013)、さらにRNAポリメラーゼの変異がMukBコンデンシンの欠損による核様体の異常を抑制することを明らかにした。rDNA遺伝子は、染色体複製起点の近傍に複数存在しており、rDNA遺伝子領域が核様体形成に深く関与していると考えられる。すなわち、rDNA遺伝子領域を土台にしてコンデンシン複合体がバクテリア染色体DNAの凝縮を行なうというモデルである。
 本研究では、MukBコンデンシンの欠損を抑制するRNAポリメラーゼの変異体の細胞遺伝学的な解析に加えて、原核生物のコンデンシン複合体がrDNAでの転写活性に依存して会合するか否か調べるため試験管内再構成系の利用を計画している。