田中_2 of 非コードDNA

紡錘体微小管と非コードDNA領域の相互作用による染色体の空間的制御
田中 耕三

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東北大学 加齢医学研究所
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染色体はゲノムを包含する情報媒体であると共に細胞内の巨大な構造物であり、遺伝情報の伝達は染色体の空間的制御によって成立しています。この制御には、ゲノムの大部分を占める非コードDNA領域が主要な役割を果たしています。本研究では、紡錘体微小管との相互作用という観点から、セントロメアを中心とした非コードDNA領域による染色体の動態制御機構を明らかにすることを目的とします。H24〜H25年度の当領域での研究から、分裂期初期にセントロメア領域が微小管の側面に結合して(側面結合)中心体方向へ移動し、紡錘体表面に集められることが、その後の微小管末端への結合(末端結合)による染色体分配に重要であることが明らかになってきました。また微小管はセントロメア領域だけでなく染色体腕部にも結合し、染色体動態に寄与することが知られています。本研究ではこれらをふまえ、1)側面結合の分子機構, 2)染色体が紡錘体上を移動する分子機構, 3)側面結合から末端結合への変換の過程とその機構, 4)側面結合・染色体腕部への結合が染色体分配の正確性に果たす役割の解明、を目指します。これらの解析のために、これまでの染色体全体のライブ観察に加えて特定の染色体の動きを追跡する系を導入し、また電子顕微鏡により染色体と微小管の結合状態を検証します。本研究を通じて染色体の空間的制御という非コードDNA領域の機能の重要な側面を明らかにしたいと思います。この機能の異常は染色体不安定性を通じてがん化と関連していると予想されるため、本研究の成果はがんの発生メカニズムの解明につながるのではないかと考えられます。