結晶の表面が曲率を持つと,曲面による内部圧力の変化に伴い,融点が変化します。これは,これをギブス・トムソン効果と呼びます。融点の変化は曲率が大きいほど大きいため,結晶のサイズが小さくなればなるほど効果が顕著になります。H2O 氷の融点は摂氏 0 度と言われていますが,半径 1 ミクロンの小さな氷結晶の場合,その融点は氷点下 0.1 度くらいになります。
また,結晶の形が丸でなく,四角形のような形の場合,結晶の場所によって融点が異なることになります。四角形の辺は曲率がゼロですが,角の部分は曲率が大きいからです。この場合,曲率が大きい角の部分のほうが融点が低くなるため,優先的に溶けていき,角が消失していくことになります。最終的に,結晶の形は丸になります。
本 java プログラムでは,ギブス・トムソン効果によって四角い結晶の形が時間とともに丸くなっていく様子を,フェーズフィールド法によって計算します。変形中は結晶の成長や溶解に伴って,結晶化潜熱が放出されたり吸収されたりすることにより,結晶周囲の温度場が変化します。結晶の形の変化と周囲の温度場の変化を,java プログラムで体験してみてください。