有機化学研究室(笹森研究室)Sasamori Group @名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科

全元素有機化学の実践

 

周期表全体を見渡した全元素有機化学

私たち生体を含め、身の回りの様々な物質の大半は有機化合物でできています。様々な有機化合物の性質や機能と分子構造と結合の性質に基づいて理解することができれば、社会の要望に応じた機能をもつ有機化合物を設計し、自在に合成することができるようになります。炭素や窒素だけではなく、あらゆる元素資源の有効活用を目指し、周期表全ての元素の基礎的な性質を調べることで、あらゆる元素を使いこなした分子設計、分子合成技術の確立、有機材料開発についての研究をしています。

有機化学の中心は、炭素化合物です。様々な官能基として他の第二周期典型元素(N, O, Fなど)が含まれる場合もあります。元素周期表を見ると、100個ほどの安定な元素が存在するにもかかわらず、一般的な有機化学のほとんどは第二周期元素から構成されています。
周期表では「似た元素が縦に並んでいる」と言われますが、炭素とケイ素で、どの点が似ていて、どんな点が異なるのでしょうか?有機化学の教科書には、炭素と炭素の結合を作る反応は数多く書かれていますが、ケイ素とケイ素は同じ方法で結合をつくることができるでしょうか?
 
現在では、第二周期元素と、第三周期以降の元素では、性質がそれぞれかなり違うことが分かってきていますが、まだまだ、それぞれの元素の「個性」が明確にはなってはいません。私たちの研究室では、有機化学の観点で周期表を広く見渡して、それぞれの元素の「個性」を最大限引き出し活用できるような「全元素有機化学」の基礎を作り上げる研究をしています。
 

10年後の教科書を作る

社会の要請に迅速かつ適切に応えることのできる新規物質創製を実践するためには、あらゆる元素を視野に入れ、その根本となる「元素の個性」と化学結合の「基本原理」を理解し、整理している必要があります。有機化学・無機化学のように、細分化されている研究分野では、元素全体を系統的にカバーできる基本原理を抽出することは難しくなります。今こそ、周期表全体を見渡した全元素有機化学を確立し、10年後、20年後には化学の教科書の中心となるような基礎研究をしっかり行う理学の追究を志しています。

 

▶ 高周期典型元素の化学

 

有機化学の中心となっている、炭素、窒素、酸素、などの第二周期元素の化学を、ケイ素、リン、硫黄などの第三周期以降の高周期典型元素に置き換えた化合物を合成してみるとなにがおきるでしょう?こうして元素置換した化合物の性質を細かく調べます。
有機化合物と高周期典型元素との差異を明確化
することで、それぞれの
元素特性
を抽出し、さらにこれらの知見を元にして
高周期元素の特性を活かした新しい機能・物性を探求
します。
 
炭素の化合物とケイ素の化合物は、似ているようで似ていないものが多いです。
特に顕著な違いは「不飽和化合物」。ケイ素の多重結合化合物は、炭素と比べて極端に反応性が高く、簡単には単離できません。その違いに、ケイ素の未知なる力が隠れていると思いませんか?

▶ 新しい典型元素酸化還元系の構築

 

かさ高いフェロセニル置換基を独自に開発して、通常では単離できないような高周期14族・15族元素化合物(ケイ素やゲルマニウム、スズ、リン、アンチモンなど)を合成して、その酸化・還元挙動を調べています。これにより、炭素化合物よりももっと簡単に電子を受け取ったり(還元される)、電子を渡したり(参加される)する物質を創り出そうとしています。さらに、酸化や還元で反応性がガラリと変わる、斬新な反応活性分子の創製もできると期待できます。
 
 

▶ 新しい典型元素触媒反応の開発

 

異なる炭素化合物同士を効率よくつなぐことのできる「クロスカップリング反応」は重要な反応で、ノーベル賞受賞対象にもなっています。しかし、このような特殊な反応には、常に遷移金属触媒が必要です。特に、とても効率の良い優れた触媒は、パラジウムやロジウムなど、とても稀少で地球上にほとんどない貴重な元素を使う必要があります。我々は、高周期典型元素の特徴を活用して、貴重な遷移金属を使わない、新しい小分子変換反応触媒の開発に取り組んでいます。ケイ素やアルミニウムなど、豊富にある元素を使って、新しい有用な有機化合物を合成できる触媒を開発することができれば、この先元素枯渇の心配がなくなり、元素資源問題を一気に解決できると考えています。
 
 

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