今後の展開


私が今後取り組もうと考えていること
先のページで述べましたが、私は当面、自転車競技選手に実験室に来ていただく ような研究は行わず、自転車を健康づくりに活かす研究を進めたいと考えてい ます。

何を今更と思われた方もいらっしゃると思いますが、言うまでもなく、今は フィットネスセンターに行けば、必ずといっていいほど固定式自転車が並んで おり、自転車は既に健康づくり器具として日本中で使われています。また、 近年の固定式自転車には脈拍センサーが付いており、心拍変動を用いたフ ィードバック制御が可能です。自転車に対する仕事から消費エネルギーを リアルタイムで計算・表示し、最近では、運動内容をメモリーして健康管理 に役立てる自転車も登場しています。

そんなにいい自転車がありながら、ではなぜ日本における生活習慣病発症率の 発症率が下がらないのでしょうか? 

その答えは恐らく、そのような自転車をいつでも使える条件にある方、また 使えたとしても、汗を流しながら室内で黙々と自転車をこぎ続けられる方が殆 どいないからだと私は考えています。

ということで、私が現在考えている1つ目は、フィットネスセンターなどにある 固定式自転車の代わりに通常の自転車(実自転車)を使用し、それによって誰もが 健康づくりに取り組めるような具体的なプログラムを提供する方法を確立すること です。

自転車の機械的条件(タイヤサイズ、空気圧、クランク長、サドルの高さ、車重、 ギア比など)と乗る人の体格・体力、走行速度、走行地の勾配などによって必要な 運動強度、脚筋力などがどのように変化するかを明らかにし、地図やGPSなどの情報な ども組み合わせて、一人一人に合わせた自転車運動プログラムを提供し、その効果の 期待度、実際の運動効果などを明らかにしていければいいなと考えています。

私は、自転車が基本的には身体にいい乗り物で、その普及が日本における生活習慣病発症率 の低下、医療費の削減、CO2削減、地球環境保護につながると信じています。ただし、 そのためにはそれを可能にする自転車の乗り方が日本中で出来ることが条件です。

その条件整備には、自転車がいろいろな問題に対して有効であるという証拠を出して 行政を動かすことが必要で、自転車にとっての道路事情が改善され、日本人の 自転車利用の意識・方法が変わることが必要です。国民の自転車に対する意識が変われば、 自治体も自転車競技などの誘致に協力的になると思われますので、結果的には、日本の自転車 競技力を高めることにもつながると信じています。 今のままでは、たとえ自転車の 国際大会で入賞する選手が複数出ても、日本の道路事情が自転車に有利に変わること はないと思います。

かなり大風呂敷な考えなので、“計画”とも言えない“ホラ”か“夢”かもしれませんが、 NPOなどの手もお借りできれば、実現できないことではないと信じています。

そのほかに考えていることとして、
「自転車による運動機能および中枢機能の維持回復」があります。こちらについては、 自転車の開発なども含めて案がありますが、ここでは詳しく述べられません。ご面倒 ですが、メールなどでご連絡いただき、直接お話できれば幸いです。