日本で一番高価なママチャリ完成


※ 現在は、同様の測定装置がロード車にも搭載されています。

日本でもっとも普及し、ごく一般的に乗られている自転車はシティ車、 タウン車、ホーム車などと自転車広告には紹介されていますが、これ らは自転車業界では「軽快車」に分類されており、世間では“ママチ ャリ”などとも呼ばれています。

高齢者は一般に若者の好きな一文字ハンドルが苦手で、特に女性では スカートで乗ることが困難なダイヤモンドフレーム車(ロードサイク ル、マウンテンバイクなどのようにフレームが平行四辺形のもの)が 日常生活の足となることは殆どありません。このため私が行う研究に おいては、しばらくの間、下の写真のような軽快車を主に使うことを 考えています。


搭載されている測定装置を含めると、この自転車は恐らく日本で最も 高価(100万円近いです)な“ママチャリ”だと思いますが、これに は以下の写真にありますように、ペダル踏力、クランクトルク、走行 速度、走行中のペダル回転数などの測定装置が搭載されており、荷台 の黄色いバッグの中にアナログデータをデジタル記録する装置を積ん で走ることで、走行中の力学的データを得ることができます。 (INDEX中にある「ためしてガッテン」の「坂道における自転車走行の 運動強度測定」参照)。




“こんな自転車を作ってどうするの?”

この自転車は、走行速度、ペダル回転数、風速、道路勾配、空気圧、 サドルの高さなどの違いによる自転車の運動強度(必要な筋力)あ るいはそれらの諸条件と使われる筋の種類との関係などを測定する ために使用します。また、短時間の全力ペダリングでは、最大脚パ ワーや最大筋力を測定することもできます。

「ためしてガッテン」の中でも触れましたが、自転車は平地では確か に“楽すぎる乗り物”であり、移動距離当りのエネルギー消費量も歩 行の4割弱であるため、平地での移動を自転車に“どっぷり依存”す ることは避けるべきだと私は考えています。ですが、自転車には、チ ョットした坂道でも一気に運動強度が数倍になるという特徴があり、 使い方によっては、脚力低下による“転倒・骨折”や“寝たきり”の 予防に役立つトレーニングマシン代わりになる可能性があります。

この自転車を使って、どれだけの力があればどんな坂が上れるか、逆 に、どの程度の坂をどのぐらいの距離上ることが日常生活を支障なく 行う筋力を維持するために必要なのかなどを、これから明らかにして 行きたいと考えています。

日本の高齢者に、より元気に、より行動的になっていただくための研 究です。興味のある方、お手伝いいただける方、是非ご連絡ください。

最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。