名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

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Achievement
研究業績

鈴木教授の論文が国際学術誌Virus Researchに掲載されました

研究分野 生命科学(分子進化学)
掲載誌 Virus Research
論文題目 An endogenous adeno-associated virus element in elephants
著者 Yuki Kobayashi, Tsukika Shimazu, Koichi Murata, Takuya Itou, Yoshiyuki Suzuki
所属機関 日本大学, 名古屋市立大学
概要 近年、真核生物のゲノムにはさまざまなウイルスに由来する遺伝性の塩基配列が多数含まれていることが明らかになってきており、それらは内在性ウイルス様配列と呼ばれています。内在性ウイルス様配列は、過去に感染したウイルスのゲノムが宿主のゲノムに取り込まれることによって形成されたと考えられることから、古代ウイルスの化石とも言われています。内在性ウイルス様配列のなかには、宿主で重要な機能を担っているものがあります。たとえばレトロウイルスの外被糖タンパク質遺伝子に由来する内在性ウイルス様配列は、哺乳類の胎盤形性に必須のSyncytinというタンパク質をコードしています。しかしながら、これまでに発見された内在性ウイルス様配列の大部分はタンパク質をコードする能力を失っており、どのような機能を担っているのかよく分かっていません。本研究では、アフリカ獣上目の系統でアフリカゾウとアジアゾウが分岐した6百万年前以前に、それらの祖先種のゲノムにアデノ随伴ウイルスのRepタンパク質遺伝子が取り込まれたことを明らかにしました。その結果形成された内在性ウイルス様配列は現在でもアフリカゾウとアジアゾウのゲノムで587アミノ酸からなる高度に保存されたタンパク質をコードしており、肝臓で特異的にmRNAを発現しています。アデノ随伴ウイルスのRepタンパク質遺伝子は齧歯類の系統でも独立にゲノムに取り込まれており、内在性ウイルス様配列はデグーでほぼ完全長のタンパク質をコードしていて肝臓で特異的にmRNAを発現しているようです。これらの知見から、アデノ随伴ウイルスのRepタンパク質遺伝子に由来する内在性ウイルス様配列は、哺乳類の肝臓でタンパク質としてなんらかの機能を担っていると考えられます。
掲載日 2019年2月5日
DOI 10.1016/j.virusres.2018.04.015
備考  

 

アデノ随伴ウイルスのRepタンパク質遺伝子(黒)とそれに由来する内在性ウイルス様配列(橙:アフリカ獣上目;緑:その他の哺乳類)がコードするアミノ酸配列を用いて作成した系統樹。