赤外・ラマンスペクトルを測定して
分子からの情報を楽しみませんか
大学院生募集!!
 赤外・ラマンスペクトルを主に用いて研究していますが,他に紫外・可視,NMR(液体・固体)スペクトルの測定,コンピュータを用いた基準振動計算、量子化学計算も行っています.
 化合物の合成,測定,解析,計算を一連の流れとして研究します.



やってること(主な研究テーマ)

 βラクタムやβスルタムは抗生物質の中心となる骨格です(図はβスルタム)。4員環で非常に大きな歪をもった構造であり、薬理効果発現の要となっています。この単純な形の化合物の水素や窒素が安定同位体になったものを合成し、分子振動の完全解析をします。これにより結合の強さ等の情報が得られ、他の類似分子の振動スペクトルを解釈するさいに必要な基礎データを作ります。ちょっと地味ですがとても重要な研究です。

 フェニルピルビン酸は生体中に存在し、重要な役割を果たしており、その代謝異常はフェニルケトン尿症として知られております。この分子は図のようなケト型なのか、またはエノール型なのか(互変異性)、更には水が付加したディオール型なのかを赤外・ラマンスペクトルを用いて追跡します。フェニルピルビン酸のようなαケト酸は生体中に多種存在し、これらがどのような形で働いているのかはとても興味深いテーマです。

 アゾ色素は古くから染色に用いられてきましたが、現在では高機能性分子の分野で脚光をあびています。図はメチルオレンジですが、この分子は酸性溶液中では赤色、中性では黄色というのは誰もが知っています。何故このような変化を起こすのでしょうか。この問題はすでに共鳴ラマンスペクトルという手法で解決されておりますが、他のアゾ色素では面白い問題が多数あります。新しい色素を合成し赤外・ラマンスペクトルでその性質を調べるのは非常におもしろい研究だと思ってます。



使用する機器

FT−Raman分光器
通常のラマンスペクトルを測定するのに使用します。左側に見える黒いのはYAGレーザーで1064nmの近赤外線を発振します。真中のダイヤルがついているところの上部が試料室でここにサンプルを入れます。右側の大きな箱みたいのが干渉計です。

分散型Raman分光器(表)
この分散型ラマン分光器は主として共鳴ラマンの測定に使用されます。真中の四角い箱が試料室です。レーザーは下から試料に照射され右側に集光系があり、右の大きな箱(分光器)に入ってゆきます。

分散型Raman分光器(裏)
白い縦型の筒みたいのがCCD検出器です。真中の様々なパイプや電線が付いている部分が光電子増倍管の入っているところです。その左下の横長の機器はアルゴンレーザーで、514.5nm、488.0nm、457.9nm等の光を出します。

FT−IR分光器
真中の蓋の部分が試料室で、左側は赤外顕微鏡です。これらを使用してマクロ、ミクロの赤外スペクトルが測定できます。その他、拡散反射、正反射、ATR、温度可変スペクトル測定用のアクセサリーも揃っています。



共同研究者

花井一彦 博士
当研究科客員教授(前 岐阜薬科大学教授)

国本浩喜 教授
金沢大学大学院自然科学研究科
物質工学専攻 機能開発講座
http://sgkit.ge.kanazawa-u.ac.jp/~kunimoto/index-j.html

前田史郎 博士
福井大学工学部生物応用化学科
http://acbio2.acbio.fukui-u.ac.jp/phychem/maeda/