Ostwald ripening

結晶の融点は,結晶のサイズによって変わります(「ギブス・トムソン効果」参照)。では,異なるサイズの 2 つの結晶を水の中に隣り合わせておいたらどうなるでしょう ? 小さいほうの結晶 A の融点は氷点下 0.3 度,大きいほうの結晶 B の融点は氷点下 0.1 度。もし,水の温度が氷点下 0.2 度であれば,小さい結晶 A は融解してさらに小さくなり,大きい結晶 B は成長してさらに大きくなります。結果,大きいほうの結晶だけが生き残ります。このように,多数の結晶が同じ環境の中にいるとき,小さな結晶が選択的に無くなって,大きな結晶がさらに大きくなっていく現象を,オストワルド熟成,もしくはオストワルド・ライプニングといいます。

本 java プログラムでは,多数の結晶を計算領域内に配置して,オストワルド熟成が生じる様子をフェーズフィールド法によって計算します。初期設定では結晶の数はひとつですが,最大 15 個まで数を増やすことが可能です。結晶の位置とサイズはランダムに選ばれ,リセットボタンを押すたびに変わります。様々な設定で計算を行ない,結晶の数やサイズ,そして温度場が変化する様子を,java プログラムで体験してください。

How to use:

  1. "Java applet" をクリック。新しいページが開き,アプレットが起動します。
  2. "Start (Restart)" ボタンをクリック。計算が始まり,計算結果がリアルタイムで描画されます。
  3. 計算を一時停止する場合は "Stop" をクリック。"Reset" を押すと最初に戻ります。
  4. 計算条件を変える場合は,それぞれのリストから数値を選択してください。各リストの意味はこちら →「各リストの意味」。
  5. リセットボタンを押すたびに,結晶の初期配置とサイズが変わります。たまに結晶同士が重なりますが,あまり気にしないでください。
  6. 結晶の総面積が表示されているので,結晶の個数で割ることで,平均面積や平均半径を求めることが可能です。
  7. カラーは温度場を表しますが,その範囲は計算が進むにつれて変わります。その時点における計算領域内の最高温度を赤で示し,最低温度を青で示しています。最高・最低温度の変化はリアルタイムで表示されますので,その変化にも注目してください。