色の違いを考慮した高性能モノクロ変換
色は「明度・色相・彩度」の3要素で特徴づけることができます. 通常,カラー画像のモノクロ変換では,明度のみを用いてモノクロ画像を構成します. すなわち,色相と彩度の情報はモノクロ画像に反映されません. しかし,図(a)に示した画像では太陽と背景の明度が同じなので(色相や彩度は異なります),通常のモノクロ変換では,図(b)のように太陽が識別できない不都合な結果となってしまいます.
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この問題を解決するためには,色(色相や彩度)の違いを考慮したモノクロ変換手法が必要となります.
これまで,いくつかの手法が提案されてきましたが,例として参考文献1によるモノクロ変換結果を図(c)に示します.
図(c)は,図(a)における色の違いを反映したモノクロ画像となっています.
しかし,参考文献1の手法は計算量が大きく,処理に時間がかかるとう問題がありました.
そこで,処理を高速化した手法(関連文献1)を提案しました.
図(d)はそのモノクロ変換結果ですが,図(c)と見分けのつかない画質となっています.
また,関連文献2では,少し方式の異なるモノクロ変換手法を提案しました.
図(e)がその結果です.
図(c),(d)では,空の朝焼けの部分が平坦な感じになっていますが,図(e)では,図(a)の印象をよく反映したモノクロ画像が得られています.
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この色の違いを考慮したモノクロ変換は,「色覚バリアフリーを目的とした色変換」に応用可能です. 実際,色覚バリアフリーを目的とした色変換の項で紹介した手法では,色の違いを明度に反映させることを行っています.
【関連論文】
``Derivation of the analytical solution of Color2Gray algorithm and its application to fast color removal based on color quantization,''
Optical Review, vol.16, no.6, pp.601-612, Nov./Dec. 2009.
``色情報を考慮したカラー画像のモノクロ変換,''
電子情報通信学会論文誌(A),vol.J90-A, no.8, pp.673-676, Aug. 2007.
【参考文献】
``Color2Gray: Salience-preserving color removal,''
ACM Trans. Graphics, vol.24, no.3, pp.634--639, July 2005.