Sakurai Lab

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更新日 2014-12-26 | 作成日 2007-11-22

研究内容

脱窒トポロジー.png脱窒過程に関わる酵素のメンブレントポロジー NARの活性部位は細胞質側を向いており、これはベクトル的に電子をペリプラズム側から細胞質側に運び、プロトン濃度勾配を形成するためだと言われています。その他の脱窒関連酵素の活性部位がペリプラズム側にあるのは、亜硝酸やNOなど生体毒素が多く、細胞質側での触媒反応を避けるためと思われます。なぜNORが細胞膜中に存在するかは不明ですが、おそらくNOが細胞質に流入してくるのを細胞膜上で遮っていると考えられています。現在までにN2OR, NIR(銅型とシトクロムcd1型)の立体構造は解明され、残りのリダクターゼは不明です。これは、膜タンパクであるが故の精製の難しさと結晶化の困難さに起因します。当研究室ではこれら結晶化がなされていない酵素・タンパク質を重点的に研究を行っています。

NOリダクターゼ (NOR )の構造と活性発現機構の解明


分子進化分子共生.pngNORのCOXへの分子進化 呼吸鎖末端酸化酵素であるシトクロムcオキシダーゼ(Paracoccus denitrificans)とNOリダクターゼの模式的な構造を比較した図です。一見して分かりますように、触媒サブユニットは非常によく似ており、NOリダクターゼはその先祖酵素と言われています。私たちはその基質の変換(NO → 酸素分子)とそのタンパク質側の構造変換との相関性を明らかにするためHalomonas halodenitrificansのNOリダクターゼの精製やその分光学的性質、またゲノム遺伝子のクローニングによりその一次構造を推定し、金属配位子を中心としたシトクロムcオキシダーゼとNORの構造相関を明らかにしてきました。現在さらにその研究を推進させるため、NOリダクターゼの大腸菌での発現系の構築を終了し、その分子進化の謎に迫りつつあります。

脱窒菌の脱窒過程を制御する転写調節因子の網羅的探索およびその構造・機能相関


_NowPrinting.jpg 生物誕生から現在までの地球上の生物の歴史を振り返ると, その環境で生育できる様々な生物が繁栄し, その後の地球の環境変化により,選別が行われてきました。従いまして, 生物の生き残り戦略としては, 外部環境変化への柔軟な対応能力を持った多様性の確保が重要です。ミトコンドリアと起源共通ともいわれる脱窒菌はその外部環境の変化により、ほ乳類と同じように酸素呼吸および脱窒過程と呼ばれる水溶性の硝酸態窒素をガス状の化合物として放出する嫌気呼吸の両方を行うことができます。近年, 脱窒遺伝子群の発現調節には酸素の有無のみならず, その脱窒過程の中間産物もセンシングシグナルであることが判明しつつあります。当研究室では、大腸菌において酸素の有無で転写制御を行うFNR様タンパク質に着目して、脱窒菌で複数種存在するFNR様タンパク質の役割を生物無機化学的に研究を行っています。