Kenkyu- hormone

Roots, The Hidden Half.

名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科生体情報専攻 

谷本研究室      

研究内容

 

植物ホルモン

【茎の成長】植物の草丈は,主に植物ホルモン・ジベレリンによって制御されています。

 特に,エンドウなどの蔓性の植物の伸長はジベレリンによって制御されています。(メンデルの遺伝学で取り上げられた高い・低いという対立形質は,ジベレリンの合成遺伝子によって支配される形質です)

 また,蔓性の植物だけでなく,レタスやキャベツといったロゼット植物も抽臺・開花するときには盛んにジベレリンをつくって茎を伸ばします。しかし,これらのロゼット植物は,春になるまでは,ほとんど茎を伸ばさず何枚もの葉が折り重なった状態で冬を過ごします。しかし,この間も土の中では,根が成長しています。茎と根の成長を巧みに制御しているのです。

原図写真:Plants, V.A.Greulach and J. E. Adams, Jphm Wiley & Sons, Inc. and Toppan Com.Ltd.(1962), pp.328.

【根の成長と茎の成長】キャベツ,レタス,エンドウなど多くの植物は,ジベレリンを与えられると茎が伸びて草丈が高くなります。しかし,同じ植物で,根の成長を計測しても,ジベレリンの効果は表れず,ジベレリンを与えないものと同じ長さです。 →エンドウの定量的データを見る。

なぜでしょう? ホルモンに対する感受性が根と茎とはちがうからだと考えています。外から与えたジベレリンへの応答を見る限り,根と茎では100〜1000倍ほども感度に違いが見られます。→感受性の違いを見る。

根にはもともと成長に必要な十分量のジベレリンがあるので、外からジベレリンを与えてもそれ以上伸長は促進されません。根の成長は,ジベレリンの合成を阻害することによって初めて外から与えたジベレリンの効果が現れます。このような現象を定量的に調べたデータからの結論です。

下の写真は,水耕栽培したアラスカエンドウ(Pisum sativum L. cv. Alaska)です。Ancと書かれたものはジベレリンの合成阻害剤・アンシミドールです。 GA3 = ジベレリンA

アンシミドール投与によって根の伸長は阻害されます(Anc)。そこにジベレリンをまた補うことにより根の伸長は回復します(GA3+Anc)。

ジベレリンは根の伸長だけでなく太さも制御しています。

下の写真は,レタスの芽生えを2日間アンシミドール(4uM)とジベレリン(GA3 0.1uM)で処理した時の根端から1.3 mm の位置の根の横断切片です。

ジベレリンが存在すると根を細く長く成長させ,不足すると根が太ることが分かりました。その制御の過程を探るため細胞壁の伸展性や化学組成の研究が進められています。

Tanimoto, Plant Cell Physiol., 28: 963-973(1987).

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