Kenkyu

Roots, The Hidden Half.

名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科生体情報専攻 

谷本研究室      

研究内容

 

細胞壁の働き (1)酸成長

酸成長とは

植物組織を弱酸性の溶液に浸すと細胞壁が拡大して組織が大きくなる現象で,植物成長ホルモンであるオーキシンが植物組織の成長を誘導する仕組みの一部を担っていると考えられています。本研究室では根の酸成長解析を行ってきました。

切り取った根の組織を酸性pH(pH5以下)に置くと,急激な細胞容積拡大成長が起こります。根の細胞壁は外界の水環境に接しているので,特に敏感に反応します。次の図は,中性(pH7)の液中で伸長させたレタスの根端部の切片を,さまざまな値の酸性pH溶液に浸したときの伸長の様子を「リゾメータ」でモニタしたものです。pHが低いほど,急激な伸長速度の増加が見られます。このような現象を「酸成長」と呼んでいます。 レタスの根を切り取り,リゾメータにセットしてその伸長を記録しながら,周りのpHを低下させると急激な伸長が誘導される。このとき,誘導される酸成長の初期速度は,調査した限りでは,pH2.5までpHの低下と共に低下します。

Tanimoto and Watanabe, Plant Cell Physiol., 27: 1475-1487 (1986).

*pH3以下になると,伸長成長は持続せず,やがて「収縮」しています。これは強い酸性下では細胞膜の機能が維持できず細胞の吸水力がなくなって,収縮していると思われます。

このような酸成長は普遍的に見られる現象ですが,トウモロコシの根では,この現象には「単に細胞壁の物理・化学的変化だけでなく糖の代謝など細胞質の代謝機能も貢献していること」も示されています(Tanimoto et al., Plant Physiol., 90: 440-444 ,1989)。

この現象の力学的要素を明らかにするため,細胞壁の力学特性をクリープ粘弾性解析によって研究たところ,エンドウの側根では,6要素力学モデルにおける粘性係数η0の低下が最も大きな原因であることが示されました(Tanimoto et al., Plant and Soil, 226: 21-28, 2000)。

Tanimoto et al., Plant and Soil, 226: 21-28(2000)

→酸成長単なる細胞壁の物理的な緩みだけではなく,糖代謝に関連した代謝制御を含んでいることも示されています。

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