開催報告(第128回)

今、なぜ新しい理学部を作るのか?
~科学教育の重要性を考える~

講師:湯川 泰 氏(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科・教授 / 専門:植物分子生物学)
日時 : 2018年1月19日(金)
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

名古屋市立大学では、2018年4月に7番目の学部として、総合生命理学部を開設します。この新学部は、東海地区の公立大学で初の理学部であり、愛知、岐阜、三重の東海三県で実に76年ぶりに作られる理学部であります。少子高齢化が進む中で、なぜ新しい理学部が必要だったのでしょう。今回のサイエンスカフェは、いつもとは趣向を変えて、新学部開設を契機に新しい科学教育の必要性について考えてみました。

名古屋地区は、伝統的に「ものづくり」の盛んな地域で、他の地域よりも雇用が多いのが特徴です。そのため、少子高齢化が進む我が国にあって、名古屋地区の人口減少はまだ始まっていません。しかし、進学先の動向を見てみますと、名古屋から首都圏または関西地区への流出が止まりません。その原因は、この地域に大学がまだ足りないからです。その中でも、理学部の定員不足は明らかです。理学部の定員を18歳人口1000人当たりの人数で考えてみると、全国平均で16.6人のところ、愛知県には5.4人分しかありません。東海三県で見るとさらに低く、3.5人しかありません。つまり、数十年の間、理学部を志す若者は、他の地域へ進学するか、進路を変更するかの選択を迫られていたのです。

また、第4次産業革命が始まり、社会や生活の質、職業の内容が急速に変化します。そのような時代の中で、持続的な社会の構築に貢献できる「イノベーション創出人材」の輩出が急務です。自分で考え、問題点を適切に捉え、解可決策を見出し、他人とチームを組みながら、やり抜く力を持った真の社会人基礎力を持った人材を育成するためには、理学研究を通した主体的な学びはとても効果があります。

今回はテーマが特殊だったこともあり、いつもより少ない26名の参加者でしたが、ゆったりとした雰囲気の中で進行できました。しかし、たくさんの質問があり、時間をかけて一つ一つに答え、議論を深めることができました。例えば、理学部と工学部では就職率が大きく変わるのではないか?とか。質問のすべてが、総合生命理学部への期待の現れと感じました。4月から新入生を受け入れますが、新学部では学部生(大学生)にとどまらず、中高生からの科学教育の底上げと、本サイエンスカフェのような一般向け科学の啓蒙活動をこれからも繰り広げてまいります。ちなみに、理学部出身者の就職率は工学部よりわずかに落ちますが、決して悪くありませんし、様々な分野で活躍しているデータがあります。


湯川 泰(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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