開催報告(第132回)

すごいぞクモの糸
~ 夢の繊維となるか? その強さとしなやかさの秘密 ~

講師:片山 詔久 氏(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科・准教授 / 専門:物理化学)
日時 : 2018年6月15日(金)
会場 : 7th Cafe (中区栄・ナディアパーク7階)

なんだか皆から嫌われモノであるクモ。クモの糸も厄介モノ扱いされがちですが、未来の夢の繊維となるかもしれない。その強さとしなやかさの秘密を分子の構造から探る研究と、よく見ると美しいクモの糸の魅力をいろいろな写真をお見せしながらで紹介しました。

まず、クモやクモ糸に対する皆様の率直な印象をうかがいましたが、予想通り否定的なご意見が多かったです。さらに、クモ糸に関するクイズに答えていただき、基礎的なことが一般にはあまり知れわたっていないことを認識していただきました。是非、ヒアリと間違えて在来種であるアリグモを退治しないようにお願いしたいです。一方、クモやクモ糸に対する興味を持っている方も多く、私が所属している中部蜘蛛懇談会をご紹介しながら、クモの魅力に虜になっている方の様子をお見せしました。また、クモ糸が持っている優れた特徴を利用して、新しい繊維として開発する動きが盛んになっている状況をお話ししました。じつは、こうした生物模倣の動きは昔からさまざまな分野で行われているのですが、昨今の日本でのベンチャービジネスの活躍により、一般の方々にもたいへん注目されるようになりました。

次に、私の研究テーマであり本日の話題のメインである、クモ糸の分子構造についてご紹介いたしました。クモの糸は絹糸(シルク)と同様なタンパク質であり、その高次構造が物性に関わっています。生体分子のタンパク質というと、アミノ酸配列(一次構造)がとりわけ注目されていますが、クモ糸などでは紡糸における立体構造の構成が機能発現に極めて重要です。その知見について分子分光法という手法で行った研究成果を、なるべくわかりやすく解説したつもりですが、ご理解いただけましたでしょうか。

あまり難しいお話ばかりしてもつまらないので、休憩をはさんで後半は、クモ糸に関するいろいろな美しい写真をお見せしながら、クモ糸の凄さとその魅力に取りつかれた方々をご紹介しました。クモ糸の写真集を出版し展覧会も開催されている方や、いろいろなクモが張る様々な網、まだ謎ばかりの顕微鏡写真などをご紹介して、クモという生物が長い年月をかけておそらく試行錯誤した結果の素晴らしさとその多様性に想いを寄せていただけたと思います。

質問もたくさんいただき、クモの糸の魅力に興味を持っていただけたことと感じています。今回のサイエンスカフェを通して、クモを嫌いだと思っていた方のうち一人でも多くの方にクモ好きになっていただければ、クモも私も嬉しく存じます。


片山 詔久(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)

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