学生派遣 of K'sLab

名古屋市立大学大学院 システム自然科学研究科
木藤研究室(生体制御情報系・植物生命科学研究分野)

活動報告

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学生派遣(米国エール大学)

学生からの便り

米国エール大学に短期留学に出た学生さんからの便りを本人の許可を得て掲載しています。

7月8日

皆さんお元気ですか?
今、私は学会でシカゴに来ています。シカゴの雰囲気はまるで西海岸のようで、とても開放的です!昨日、シカゴにやってきて、今日が二日目。なんと、部屋はインターネットの格安料金で予約したのに、ファミリールームみたいなところにグレードアップされていました。そこでインターネットが使えるように料金を追加してメールしています。いままで、インターネットになかなか自分のパソコンを繋げられなくて、これが初めてのメールです。

7月4日の独立記念日はネルソン先生の家に行って、奥さんや、karvyとzauiという二匹の双子みたいな犬たちと遊び、ご飯や会話を楽しみました。なんと奥さんは酵母の組み換え機構を研究している方で、さらに岩手看護学校の小川先生とお友達(研究仲間)なそうです。(共通の話題があってよかったです。)

学校の実験については、二日目(7月2日)から朝9時から夕方6時までみっちりハードなスケジュールをポスドクの人たちが組んでくれていました。微量のRNAが必ず分解する、機械がうまく動かない等の失敗や、寒冷バイオに必ずあるような機器がほとんどない等の不便もありましたが、彼 女たちのおかげで、実験室内を動きまわれるようになりました。彼女たち(ジャリーンとニール、クリスティーン)は厳しいながらもあたたく見守ってくれているお母さんのようです。(そしてこの研究室は女4人だけというちいさな研究室で。実際、ネルソン先生を除く皆 さんお子さんがいるお母さんたちなんです!めずらしい!)三日に一度のペースで、隣の研究室と合同のゼミに参加させてもらいながら過ごしています。ASPBを含めエール大学で過ごすのは良い機会だと思うので、できるだけ人脈をひろげて帰ります。シカゴからエール大学に戻ったらまた再び、実験に戻るので、その時、実験経過をもっと詳しくお伝えします!

ではまたメールします。

7月13日

先生、お元気ですか?

昨日の夜、学会が無事に終わりました。宿泊を追加せず、今日の真夜中すぎ午前3時にシカゴから帰ってきました(かなりハードでした)。フライトが二時間も遅れたり、荷物が空港から出てこなかったりというトラブルがありましたが、同じエール大学の隣の研究室から同じ来ていた大学院生(irvinとDrea)がシカゴからずっと一緒だったのでとても心強かったです。30歳のIrvinはアメリカ人ですが、私と同じアジア系で10歳以上も若く見られるので、お酒を飲むときにはいつもIDを見せろとお店の人に言われます。ポスドクのDrea はアイルランド出身なのにアイリッシュビールをはじめお酒を飲むことが全くできないそうで、可笑しいです。Dreaは以前、ジョイネスセンターのディーン先生のところで働いていたそうで、植物研究の世界は狭い!と感じました。

学会ではアメリカ各地(特にオハイオ大学、シカゴ大学、エール大学)の大学の学生とお酒を飲みにいったり、ご飯を食べに行ったりしました。研究の話を少ししたり、アメリカ各地での独特の生活ぶり、可笑しい話などして楽しかったです。また以前参加したことのある国際学会で会った方たちと二、三年ぶりにまた会うことができました。学会の最後にはシカゴのジャズバンドの演奏によるダンスパーティーがあって、懐かしいひとたちと今回新しく仲良くなった人たちとビールを飲んでとにかくたくさん踊りました。教授もポスドクも学生も混じって踊るのはなんだか新鮮でした!
また、学会内での講演やポスターを見聞きして、自分の研究計画に少し手ごたえを感じたりして、自信がつきました。

ではまたメールします。

7月22日

メールありがとうございました。就職の話は、よく考えてから返事をしたいと思います。

今日のニューへイブンはとっても良い天気で、ダウンタウンでは買い物している人や散歩している人でにぎわっています。そちらも、こちらのように夏らしい暑さがつづいているのかなと想像しています。シカゴから帰ってきて一週間、岩手から離れて半月がたちました。この間自転車を購入、その後盗まれるというトラブルがありましたが(鍵もかけてサドルもはずしておいたのに持っていく人がいるのかと驚きました。)、こちらでの生活に慣れ、エンジョイしています。

中越沖地震があり、雨が続いていたのだということを友人から聞きました。研究員のニールやネルソン先生もニュースで日本の地震の件を知ったらしく、「君の家や研究室は大丈夫なのか。」と心配してくださいました。今住んでいる寮は、シャワーが共同で水圧が低い、キッチンがない等の不便を感じることもありますが、その不便さも地震後の生活に困っている人たちのものに比べたら非常に小さいものだろうと思います。

シカゴから帰ってきたその日(7月12日)に、休暇から帰ってきたローリーにはじめて会いました!彼女は岩手にいるときから実験についてのアドバイスをくれた研究室で一番年長の研究員の方です。中学生のお子さんがいる肝っ玉母さんのローリーは、私が実験で失敗すると、「All right。よくあることだ、Good luck!」と言って励ましてくれます。数日前まで、登熟種子の切片を大量に作り、レーザーで切り取った組織から微量のRNAを抽出してバイオアナライザーという機械でRNAの質を確認するという作業を繰り返していました。RNAのとり方が悪いのか、質があまりよくないという少し残念な毎日を送りましたが、今週になり質の高いRNAがとれるようになりました!来週から、微量RNAを定量する機械「RIBO Green analyser」と「切片由来RNAを鋳型としたRT-PCR」にトライしてみます。

もうひとつ個人的に良いことがありまりました。髪を短く切ったら、酒屋さんにいってもバーに行っても「IDを見せろ」と言われなくなったのです。ショートカットにしてから質の高いRNAも取れるようになったので、改めて実験環境の重要性が身にしみました。 週末は、ダウンタウンで一番ピザが旨いその名も「BAR」というバーで、ビリヤードやダンスをしたり、黒ビールを飲んだりしました。エール大学の町なだけあって学生さんが多いような気がします。ビリヤードでは、あまりの下手さに、相手のおじさんに「白いボールじゃなくて色のついたボールをホールにいれるんだよ。」と笑われてしまいました。5種類のビールの利き酒セットもあって、先生がここにきたらとても気に入るのではないかと思います。

ではまたメールします。

8月3日

お元気ですか?

先週の7月25日は、ネルソン先生の家でジャリーンのお別れパーティーがありました。ノースカロライナ州の大学にポスドクとして移動することになったそうです。パーティーには隣の研究室のメンバーを含めた20人ほどが集まって、奥さん手作りのピザをごちそうになったり、みんなで巨大マルガリータを飲んだりして楽しくすごしました。ポスドクの人のほとんどがお子さん連れで、赤ちゃんや子供の笑い声や泣き声の絶えないにぎやかなパーティーでした。また先週末はボストンへ遊びに行き、港やハーバード大学を散歩しました。ハーバードとエールの雰囲気はどこか違うなと感じたのですが、その理由は、ハーバードはレンガでできた大学でエールは石でできた大学だからでした。New Englandと呼ばれる地方にあるボストンはビールが有名で、現地のビールはもちろんのこと、ボストンとは関係の無いアイルランドのギネスやベルギーのコムギビールを飲みました。ビールを飲みながら、全体がレンガから成っているようなボストンのダウンタウンは、New EnglandというよりはOld Englandのような雰囲気でした。もしかしたら、木藤先生好みの町なのでは、と思います。今週は、隣のヴィヴィアン先生研究室のIrvinをはじめ学生、ポスドクがベトナム料理店に連れて行ってくれました。ほぼ毎日中華料理をメインに食べていたので、ベトナム料理のあっさりした味は最高です。

今やっているレーザーを使ったオオムギ登熟種子からの組織単離は、一つの組織を集めるのに丸一日かかります。それでも、先週から何とか切片からのRT-PCRができるようになりました!これまでバイオアナライザーで質を確認して、その結果が良いものでないとRT-PCRに使えないと教わってきたので、質の良い切片を作ろうに努力してきましたが、実際にRT-PCRをやってみると、多少質の悪くても質の良いものと変わらず使えることがわかりました。ローリーも「バンドがちゃんと出てる!」と驚いてくれました。とにかく結果が得られて良かったです。特に興味深いのは、花の解析結果です。結果が予想と違っていたので驚きながらも、新たな知見に少し興奮しています。8月上旬は一気に組織を大量に単離してRT反応後、それぞれを細胞壁関連遺伝子も含めて解析します。

では、またメールします。


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